第25話 議論

室温が28度程で湿度の高い部屋で私は先生と議論している。日は既に暮れている。


私は2日後にドイツに行き、その時にディスカッションを行う。そのためにディスカッションの準備として、3つのキーワードとそれぞれの自分の主張や情報を調べている。


しかし私はこの準備の目的について理解ができなかった。


先生が言うにはこれはお互いの意見を通して自らの考えを深めるというのが目的だと言う。


私が最初にそれを聞いた時は目的の典型であるような言い方であったので特に気にもせず流していた。


しかし、ディスカッションの準備をしている時にこのような準備をする理由がわからなくなった。


私はディスカッションは相手と情報を共有し合い、新たな論点を見つけ、それについて話し合う事だと思っている。


しかし、私達が行なっている準備はお題が既に一つ決められ、このように聞かれた時にはこう答えようなど、まるで相手と話し合おうとしているようには思えなかったのだ。




この問題を解決するために、私はまず『考えを深める』という部分が抽象的すぎると伝え、その部分の具体化を目指した。


先生曰く、相手の意見について自分の思った事を知り、何故自分がそのような事を思ったのかを考えることが考えを深めるという事だそうだ。


ここで考えを深めるという事の定義について争う必要はないので、上を前提に話を進めることにした。



次に、そのディスカッションのために何故わざわざ3つのキーワードを考え、それについて調べなければならないのか、それでは論点が固定されてしまうのではないかと聴いた。


すると驚くべき答えが返ってきた。


もし私達がそれでディスカッションができるのならば、この紙を用意する必要はないそうだ。


それを聞いて私は腑に落ちた。


つまり、キーワードを3つ考えたりその意見や理由を考えているのは、言葉の壁がある私達が話す内容が無くなり、お互いの意見交換がなくなる事を防ぐためのツールだったのだ。


だからこのキーワードは使わなくても良いらしい。


始めに先生はお互いの意見を通して自らの考えを深めるのがこの準備の目的だと言った。


それはこのディスカッションの目的なのだ。

そして、そのディスカッションを失敗しないためにこの準備があるので、この準備の目的でもあるのだ。


言葉は中々難しい。誤解を生まないためにもこれからは相手に伝わりやすい言い方を心掛けたい。



そしてディスカッションを成功させるためにそこまでの準備をしてくれた先生方に感謝する。


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男子高校生の思考 @Akira0405

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