中学三年の受験生の主人公は、家電は空を飛ぶものだと思っていた。何故なら、その光景をずっと見て育ったからだ。しかし、誰もそれを信じてくれる人はいなかった。そんな中、転校生がやってきた。彼は浮き沈みするラジオを持っていた。それを見た主人公に、転校生は自分の正体を明かす。
転校生は、家電の不法投棄場所にいつもいた。主人公も転校生と親しくなり、そのガラクタの山で会うようになった。転校生は使える物を捨てる日本人を、不合理的な人々だと思っていた。そのガラクタの中から、転校生は自分の故郷に家電を秘密裏に送っていた。そんなガラクタの中から、ペン型のボイスレコーダーがあった。
主人公は転校生がいつもラジオを持ち歩いていることが、不思議だった。転校生は波長を故郷に合せれば、会話ができるかもしれないと言う。そしてある晩、転校生がラジオで誰かと会話しているのを目にする。しかしそれを最後に、転校生は姿を消し、主人公にはボイスレコーダーに転校生からのメッセージが残っていた。
果たして、何故空飛ぶ家電が主人公に見えたのか?
転校生の正体とは?
そして、最後に残されたメッセージの内容は?
やる気のない主人公と、不思議な転校生のささやかな友情を描く一作。
是非、御一読下さい。