第10話 機嫌が悪くなっている証拠
その後一緒に食事を摂り、一緒にお風呂にも入った。
もちろん、行為もした。
あとは寝るだけである。
が、
「緑ちゃん、何処に行くの?」
一筋縄では行かない。
「あ…下の客間で寝ようかとーー」
「何言ってるの、何時も泊まる時は一緒に寝てるでしょ」
「た、たまには客間で寝ようかとーー」
「うん?」
「せ、折角客間を毎回準備して貰ってるのに、使わないのはどうかとーー」
「気にしないで大丈夫だよ」
「け、けどーー」
「うん?」
「た、たまには1人で寝たいなーなんてーー」
「何言ってるの。早くおいで、風邪引いちゃうよ」
「…」
主人には伝わらないらしい。
遠回しに"一緒に寝たくない"という思いが主人には伝わらないらしい。
世良家では、基本行為後は直ぐ帰るか、一晩過ごす場合は極力別々に寝るようにとの決まりがある。
皆んなが守っているかは別だが。
しかし、契約の場合は特別になり、決まりが緩くなったりする。
それも含めての契約だろう。
その為、契約をしている場合、基本主人の言いなりだ。
彼とは契約を交わしてからは一晩過ごす際、一緒に寝るようになった。
なったと言うには語弊がある。
ならざるを得なかったの間違いである。
主人と一晩過ごすことになった時、毎回どうにかして一緒に寝るのを回避しようと試みるのだがーー
「早くおいで」
「…」
「緑ちゃん?」
「…」
「…」
「…」
「緑」
「…はい」
毎回、主人の圧に負けてしまうのである。
主人が私をちゃん付けしないで呼ぶ時は、機嫌が悪くなっている証拠である。
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