第5話 いつもの呼び出し
今日もどうにか主人に振り回されながらも、大学が終わり家路に着けた。
と思ったがーー
「緑!一ノ瀬様がお呼びだよ!」
家に着いた瞬間これである。
「…あー分かった」
「あんたの分かったが分かってないのは、もう分かってんだよ!今すぐ一ノ瀬様の所に行きな!」
「…」
帰って来た瞬間にこれ。
もっと自由な時間が欲しい。
もっと行為以外のことをしたい。
そのためにも早く卒業したい。
と、思いながら大学帰りの格好のまま一ノ瀬邸に向かった。
◇◇◇
「ようこそいらっしゃいました、緑様。理央様がお待ちです」
「…はい」
デジャブを感じながらこの馬鹿でかい建物に入る。
直ぐに主人の部屋に通された。
のは良いが、私が入って来ても主人の反応は無いまま何か書類と向き合っている。
そのまま数十分放置状態。そっちから呼び出しといてこの扱いはどうなってんじゃ!御宅の教育どうなってんねん!と言ってやりたい所だがーー天下の一ノ瀬様に言える筈もなく。
帰るかーーと踵を返した直後、
「どこに行くの?」
と、いきなり話し掛けて来るもんだから驚いた。
気づいてるなら最初から話し掛けろよ、と思う。
「あ…邪魔かなと思ってーー」
「邪魔じゃないよ」
「け、けど何か作業してるみたいだしーー」
「大丈夫、もう終わるから」
そう言いながらも書類からずっと顔を離さず、動かしている手を止めることもない。
こちとらヤることヤって早く帰りたいわ、こっちの時間も考えろや、このヤリ◯ン万年発情期野郎がーーなんて天下の一ノ瀬様に言える筈もなく。
私には主人を待つことしか出来ないのが現実である。
主人に「ソファに座って待ってて」と言われ、最初から早く言えよと思いながら座って待つ。
とくにやる事もなく、静かに座って待つしかない。
次第に眠気に襲われていった。
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