第3話 彼の命令は絶対
「いつもすごいね、一ノ瀬さんは」
「…だね」
「緑は興味ないの?」
「あまり…」
「 そう」
「夏帆もあまり興味ないよね」
「まあ格好いいとは思うけど、眺めるだけでいいかな〜」
「…だね」
この子は、九条夏帆(くじょうかほ)。
一ノ瀬程ではないが、中々のお金持ち九条家の1人娘である。
もちろん、世良家の本当の事を知る由も無くーー
仲良くしてくれている友達である。
次の講義に夏帆と移動中「205号室 昼休み」と主人から連絡が来た。
嗚呼、今日はお昼抜きか、きついなーーなんて考えながら次の講義に向かった。
◇◇◇
少し講義が長引いてしまい、人気(ひとけ)の無い205号室に着くのには少し遅れてしまった。
「緑ちゃん、遅い。来ないと思った」
「…来るよ」
「うん、知ってる。来ないと“家”の人に怒られちゃうもんね」
「…」
どのように教育したら、こんなにもさらっと嫌味が言えちゃうように育つのか聞いてみたい。
「お昼持って来たの?」
「…」
「どうせ食べられないの知ってて持って来るなんて、さすが緑ちゃん」
「…今日は食べられるかもしれなーー」
と言っている側から、行為を始めようとする主人。
「うん、そう言っていつも食べられないよね」
「今日は食べられるかも…っん、待っ…」
「うん、緑ちゃんは食べてて良いよ」
「っ、…ん、あっ、こんなんじゃ…ん、食べれな…あっ」
「うん、けど、今日こそは食べるんでしょ?」
「はぁん…っ、まっ…、やっ…、あっ…ん、ゔ」
「ほら、無理して食べようとしない、喉に詰まらせちゃうよ?貸して、」
「あ…っ、んぅ…、やぁ…、食べ…んあっ、」
「大丈夫、満足させてあげるから、ね?」
「やぁっ…、ちが…んぅ、ひゃぁん、ああっ」
「ほら、もう濡れて来てるよ?」
「ああんっ、んぅ…、あぁっ…、ぅんん…」
「そろそろ大丈夫かな?挿れるね」
「あ…あ…、ああん!」
いつ、何処で、何をしていようと、主人に呼び出されたら向かわなければならないのが決まりである。
こうして度々、空いている時間があれば大学内だろうと何処だろうと身体を重ねて来た。
主人の欲望のままに。
行為が終わった後、直ぐに身なりを整え戻ろうとすると、
「あれ?もう戻るの?あと少し休む時間あるけど」
と、主人に尋ねられる。
ご飯も食べ、性欲も満たし、後は寝るだけであろう三代欲求を満たそうとしている主人に腹が立つ。
「…戻ってご飯食べる」
「あー、そうだね。緑ちゃん、全然食べられてなかったからね」
「…それじゃあ」
「うん、またね」
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