Q.13バカはどうしてバカなのかな?

「ねえ、どうしてバカはバカなのかな」

「お、俺が知るわけないだろ」


 少女は少年が言い淀んだのを見逃しはしない。


「バーカ」

「…」

「バーカ、バーカ」

「……」

「バーカ、バ「あーもうっ!」」


 少年は喉が掻きむしられるような声を上げる。


「意地悪」

「真似しないで」


 少年は静かに息を吸った。


「バカってのはさ、頭が良くないってことじゃねえだろ。バカってのは、反対の言葉がいくつでもあるし、意味も1つじゃねえ。だから好きに解釈すりゃいいだろ。勝手に褒め言葉にしちまったりさ」

「バーカ、バーカ」

「バカってのは個人と同じくらい絶対的なものなんだよ。心の数だけそれぞれのバカが――」

「バーカ、バーカ」

「…」

「バーカ、バーカ」

「……」

「バーカ、バーカ」

「あのな、バカって言うやつがバカなんだぞ」

「そっちが先に言ったんじゃない。バーカ、バーカ」

「いや、俺じゃないぞ…絶対に違うぞ…」

「バーカ、バーカ」

「ぶちっ」

「バーカ、バーカ」

「てめぇの方がバカだ、バーカ!」

「バーカ、バーカ」

「バーカ、バーカ、バーカ」

「バーカ、バーカ、バーカ、バーカ」

「バーカ、バーカ、バーカ、バーカ、バーカ」

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