Q.12なんだか中毒性があるんだって

 青い空には白い雲が浮かんでいる。


 綿菓子をちぎったような雲ばかりが浮かんでいる空だった。


 そんな空の青のしたに少年と少女がいた。


「ねぇ…なんだか病み付きになるんだって。中毒性があるみたい…」


 少年は少女の手の内のものを見る。


 少女の小さな手には液体の入った、目薬の容器のようなものが握られていた。


「俺が…知るかよっ」


 少年は少女の手から容器を奪い取ると、そのまま空に向かって投げ捨てた。


「何するの?」


 少年は顔を強ばらせて言った。


「お前の人生、好きにすりゃいい。それはお前ただ一人のものだからな。でもな…せめて自分の体くらいは大切にしろよ!お前がどうこうじゃねぇ!俺が見るのが嫌なだけだ!」


 少女はケタケタと狂ったように笑い出す。


「そうやって恩を着せるつもり?」


 少女の怪しげな眼光が少年を射抜く。


「って、これ、EVE burst errorでやった」

「は?」


 少年はきょとんとした。


「あれはただの目薬」

「でも、中毒がどうこうって…」


 少女は腹を抱えて笑いだした。


「あれはこの小説の感想だよ。まこちゃんさんからの応援コメント」

「この小説とか言っちゃってるよ…」


 少年は安堵のため息を吐く。


「でも、本気で怒ってくれて本当に嬉しかった」


 少年はわざとらしく顔を逸らした。


「EVE burst errorでやってたやつだろ」

「バカ」


 少年は鼻で笑う。


「で、今日は「バカ」のか「バカバカバーカッ!」」

「お前な…」

「バーカバーカ!」


 あっかんべーと舌を出し、少女は屋上から去っていく。


 屋上には少年1人が取り残された。


「EVE burst errorというのはな。その昔人気を誇ったノベルゲーっぽいなにかだ。度々リメイクされている名作だ」


 少年のため息が空に混ざって消えていく。


「なぜ俺が説明せにゃならん…」

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