Q.9どうして人は傷つけあうのかな
空の青には際限がなく、それが故に人は頭上に恐怖を引っ提げなから、歩いている。
そんな空の青を瞳いっぱいに写した二人の少年少女は屋上で寝そべっている。
「ねえ、どうして人は人を傷つけるのかな」
「俺が知るかよ」
「意地悪」
少女は少年がどこか苛立っているのを感じていた。
「それは人が人を怖がっているからだ。自分が傷つけられるのが怖いから人は人を傷つける。人間の敵は直接的には人間しかいない」
「そうなんだ…」
少年は早口で続ける。
「人は自分の知らないところで他人を傷つけている。お前がずっと被害者面してるのが気に入らない」
「そうだね。誰かに傷つけられるのが怖いって思うのは、どこかで傷つけられたり、傷つけられたりするかもしれないって思わせてるんだもんね…」
少年は小さく舌打ちをする。
「今日はするのか?」
「今日もしない」
少女は少年のもとから去っていく。
一人になった少年は呟く。
「でも、人は傷つけることを止められない。きっとそれは、人間が初めからそういう風に作られているからだ」
少年の吐き出した言葉は空の青に溶け込んだ。
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