Q.6いつも言ってる、やるやらないってなんなのかな

「今日も楽しく少年少女と100の問答のコーナー!!いぇーいっ!!」

「なんだよ、その津波みたいなハイテンションは」

「ご質問いただいたのは暗黒星雲さんから。略して、ダークネビュラさんです!」

「略しきれてないだろ」

「さて、お便りを読むね!『ムケ男さん、ムケ子さん、おはようございます』はい、おはようございます!」

「俺らの名前、なんでそんなのになってるの?」

「『いつも通勤中に読ませていただいてます』いやー、それはありがたいですね!竹内緋色なんてスポーツ紙のアダルト記事しか読まないですのに」

「そんなこと書かれてたか…?」

「『ところで、いつも不思議に思っていたのですが、お二人が最後にするしないと言っている、あれってなんですか?気になって久野美咲さんの演じたキャラまとめばかり見てしまいます』だって。あれってなに?」

「俺が知るかよ。あの応援コメントはそういうことじゃないだろ。というか、もうつっこまん」

「久野美咲さん、いいですよねー。わたしはやっぱり星宮ケイト様が一番好きです!」

「これは…外伝的時空…!俺がなんとかしないといけないのか…」


 少年は大きく深呼吸をした。


「するしないなんてよくわかんねえよ。あんんなの、挨拶みたいなもんだろ?でも、何かをするしないってのはどれだけ重要なんだろうな。俺たち無力な奴らにはするしない以前にできるできないって問題ばかりがつきまとってくる」

「そうなんだ」


 少年は少女はいつもの調子に戻ったので、胸を撫で下ろした。


「でもな、できるできない以前にするかしないかだし、するかしないか以前にしたいかしたくないかなんだ」


 少年は今日の空の青は一段と近い気がしていた。


「今日はするのか?」

「今日しない」


 くすり、と笑って少女は去っていく。


 屋上には少年ただ一人が残された。


「だから、俺たちは間違ってるんだ。こうやってできないと言い訳してやろうともせず、空を見ている俺たちは」


 少年の言葉は空の青に溶けていく。


「やりたいのか、やりたくないのかからも目を背けている。いや、もうなにも考えていないのか」


 一迅の風が少年の髪を揺らしていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る