「根掘り葉掘りの根掘りは分か――」

「俺が知るか」

「まだ全部言ってないよ」

「題名の時点で分かるんだよ。ジョジョネタかよ」

「意地悪」

　少年はため息をつく。そのため息は空の青に溶けていった。

「んなもん、根っこを掘り返しても飽きたらず、葉っぱの下の地面まで掘り返しちまったんだろ」

「そうなんだ」

　自分から振った割りには少女の反応は薄かった。

「どう考えても無駄なほど物事に固執してることを言うんだろ」

「わたしにはあるのかな？根掘り葉掘りなものが」

「それこそ俺が知るわけねぇだろ」

　鼻から通る空気がやけに冷たいと少年は感じた。

「ただ、根掘り葉掘りってのは、生きている限り根掘り葉掘りすることがあるだろ。人間、生きることに根掘り葉掘りなんだから」

「根掘り葉掘りって尋ねるとかの副詞でしか使わないよ？」

「お前が変な使い方をするからだろ」

　薄い雲は早く流れていった。

「今日はするのか？」

「ううん。今日もしない」

　そうして少年一人が取り残される。

「俺にもあったのかな？根掘り葉掘りが」

　その言葉は誰にも聞かれることなく、少年の胸にゆっくりと落ちていった。

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