Q.3どうして守れない約束なんてするのかな

 空と最も近い場所に一人の少年と一人の少女がいた。


 二人は寝転がりながらただ、空の青を見つめている。


「ねえ、どうして人って守れない約束をするのかな」

「知るかよ」

「意地悪」


 少年には少女が頬を膨らませているのが分かっていた。


「そんなもの、約束なんてするからだろ。約束なんてするから破られる」

「そうなんだ」


 少年には少女が納得していないのが分かった。


「約束ってのはどちらかが信じてれば成立するんだよ。片方が絶対に守れないと分かってていてもな」


 少年はため息混じりに尋ねた。


「今日はするのか?」

「ううん。今日しない」


 少女は立ち上がり、屋上から去っていく。


 空の青には少年ただ一人が取り残される。


「信じるから裏切られる。それでも人は信じることを止められない」


 その言葉は空の青に合わさり、消えていく。


「でも、約束ってのはたった一人ではできないんだぜ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る