第6話 悪魔みたいな女神は即死魔法級に恐ろしい技をもっていた。

……身体が動かない。

原因は大体わかるが、納得がいかない。

あんなちっさい火球で魔力切れとかビックリするわ。


…俺貧弱すぎん?いや、魔力を吸われすぎてたのかもしれない。


うん。後者であることを信じよう。


別に魔力切れたからと言って死ぬわけじゃない。1日待てば起きるし、特に問題は無い。

魔力供給とかしてくれてら話は別だけど。


……残念ながら、あいつツムギがそんなことしてくれるとは思わない。


諦めて別のことを考えよう。そうしよう。



……改めて謎なんだが魔力供給ってどうやってんだろうか。


どこかの聖杯を巡った争いの世界ではで魔力を供給するらしい。


いや、待て待て。


俺は何を考えているんだ。馬鹿のか?

…でも、ほら、一応男子高校生ですし?人間の3大欲求の1つとは切っても切れない関係なんですよ。

だからこんな想像するんだよね。納得!


…1人でボケて1人でツッコミをいれる。


そんなクソつまらない遊びをする程には暇なのだ。


「はぁ〜。早く1日過ぎないかな……。」


完全に魔力供給してもらえるという考えはない。

だってあのツムギだよ?口を開けば暴言、悪口。そこら辺のパリピ女子くらいには怖い。


いや、ほんとに。あまりの怖さにトラックが勝手にひっくり返るくらいには。


こんな感じにどうでもいいことを考え、ただ時が過ぎるのを待った。


地獄のような経験だったし、もう二度としたくない。


**********


「あっ、蓮!やっと起きましたか!」


「…引きこもりにとってはいつも通りみたいな感じだったけどな。」


嘘です。見栄を張りたいだけなんです。


「……へぇ、でもまぁ予定より少し早い目覚めでしたね。(そのまま永眠してもらってもよかったんでくけどね。)」


……おい。今こっそり小声で死ねみたいなこと言っただろ。

俺は心の中でそう答える。ここで下手にツッコミを入れると後々めんどくさいからだ。


「これも、私が作った特製スープのおかげですかね。」


ツムギはとても自信満々な表情でこう言った。


周囲には草やらキノコやらを使った跡がある。とてもやばい予感がする。


「……ちなみに、まだ残ってるか、それ。」


「ふぇ?あ、まだ残ってますけど。」


「ちょっと見せてくれないか?」


仕方ないですねーとでも言いたそうな表情で部屋の奥に消えていった。


おそらく1分もかかっていないだろうか。

ツムギはボウルを抱えて戻ってきた。


……待て。そのボウルの中にある食べ物(?)はなんだ。色が紫だし、見た目が完全にジャイ〇ンのシチューだ。


「……お前、これを俺に食わせたのか。」


「え?もちろんそうですけど。あ、さすがに食べやすいようにスープだけにしましたけど。」


なんてことだ。つまり俺は1度死んだのか?

こんな、死を司る暗黒物質デス・ダークマターを食べさせられたんだ。生きているはずがない。


「なんですか、その目。1口食べるだけで魔力回復速度がかなり上がるんですよ、コレ。」


「……こんなの食ったら魔力どころか体力がなくなって死んでまうわ!!」


「え?そんなことないですよ、ほら、私が食べても問題ないですし。」


……ウッソだろお前。ほんとに食べれるの?


「えぇーい、ままよ!!」


覚悟を決めて1口食べてみる。


……!?!?


甘い辛い苦い酸っぱい……etc。


全ての味覚が舌に伝わる。明らかにダメージを受けているのが分かるほど苦しい。


「ガッ……おま、え……なんてものを…。」


「っププククク…。アハハハハ!!」


……なんなの、闇の魔女にでも変身するの?いや、元々こいつ女神じゃなくて悪魔だったのか…。


「大丈夫です。死にはしません。少し休めば魔力上限も上がりますし、よかったですね」


「いや、よくねぇーよ!!くっそ、水……。」






ーーこうして、俺はツムギに二度と料理をさせないことを誓ったのであった。

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