第4話 異世界といえば無双だろ!!

「…なぁ、もうそろそろ休んでいいか…?」


この森が無くなるんじゃないかくらいには切っている気がする。


「ええーっと、ここがこうだから……。」


ずっと紙とにらめっこをしている。


(…設計も大変だな…。)

「…お前、あまり無理はするなよな。」


「……お前じゃないです、ツムギです。」

ムッとした顔でこちらを睨んでいた。


「…はぁ……ツムギ、俺は先に寝るがあまり遅くまで起きるなよ。」


「ご心配なく。これでも女神なので。おやすみなさい、蓮。」


「あ、あぁ。おやすみ。」


(はじめて地面で寝るが、気にしたら負けだ。)


「……りがとう。」


深い眠りに誘われていた時、彼女の声が聞こえた気がした。




「蓮…!蓮!!朝です!いや、多分昼です!!」


「んぁぁ…、寝すぎたか…。」


「全く…これだから昼夜逆転引きこもりは…。」


「……いや、まぁそうだけど。」


「そんな蓮が社会のゴミってことはおいといて……」


「うーん、反論できないなぁ〜〜泣いちゃうよ?ねぇ。」


「設計図、完成したんですよ!!」


「あっ、俺は無視か!そうか……。いや、まぁいいんだけね。うん。」


「ですが1つ問題があるんですよね。」


(あっ…ほんとに無視かぁ……。)


「釘がないんですよ。釘が。」


「釘ぃ?金輪継かなわつぎはできないのか?」


「なんですか、それ。」


「日本のお寺に使われている釘とかを使わない建築なんだよ。凄いだろ!?」


「……で、蓮にそれは出来るんですか。」


「えーっと、できません、スイマセン。」


「はぁ…。」

ツムギは大きなため息をついた。


「私の魔法で何とか引っつけます…。」


また魔法か、俺も使ってみたいな……。

「なぁ…その…俺にも魔法って…。」



「……多分できます。」

すごくウザそうな顔をしている。


「が、魔法については長いのでまた今度。」


「あ、あぁ。また今度頼むわ。」

さすがに今調子にのると殺されかねない。


「んで、俺は何をしたらいい?可能なことならなんでもやるが。」


「じゃあそうですね、私の手を握っておいてください。」


「オッケー、手を…って、は!手ぇ!?」


魔力譲渡マナハンドですよ。ほら早く!」


「えっ、ちょま待てよ。心の準備ってやつが……」


「じゃあ八割ほどもらいますね〜」


ツムギの手と俺の手が蒼く光る。

それと同時にものすごい疲労感に襲われる


「ぐぉ!?身体が重い……!!」


「それはまぁ魔力は体力みたいなもんですしね。」


「えっ、もしかして今八割も!?」


「……だから、八割ほどもらうってさっき言いましたよね?」


「ちなみに、全部持っていかれたらどうなる?」


魔力不足マナショーテージで1日程ぶっ倒れます。」


「さりげなくなにやばいことしてんの!?」


「いや、なんでもするって言ったから……。」


……たしかに。これは俺が悪いのか。


「あ、ちなみにまだ木を運ぶ作業があるんで。」



ーーーーーーーーーー


拝啓、過去の俺へ。


いかがお過ごしでしょうか。こっちは異世界に来て、地獄のような日々を過ごしています。


今の君の中の異世界は漢字二文字いえば無双だけどそれは違います。

答えは労働です。

毎日が死にそうです。


でも、仲間がいるってこともたまにはいいんだなと思いました。

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