第2話 新米女神と共にやりなおし。
「えーっと、君は誰…?」
その少女の見た目は俺と同じくらいの年齢に見える。
「私の名前はツムギ。貴方をここに召喚した女神です」
…女神かぁ…。また俺は変な夢を見ているなぁ……。
「これは夢ではありません。現実です」
「な、俺は喋ってないぞ!?」
「他人の心を読むくらい、神にはできます」
「へぇ。それは便利だなぁ…」
ふと、今変なことを考えたらどうなるのだろうかと思ったが……やめておこう。
「ゴホン。私はずっと貴方の行いを見ていましたが、実に愚かです。愚の骨頂です」
「いや、俺そこまで酷かったっけ!?」
思わずキレのいいツッコミを入れてしまう。
「なので、もう一度あなたには別の世界でやりなおしをしてもらいます」
…へ?やりなおし?なにそれ、聞いてないんだけど。
「…ちなみに、そのやりなおしって、0から?」
「勿論です。あとは、そうですね…私も同行します」
「はいはい、なるほど。って、え!?あんたもついて来るのか!?」
「…なんですか、私じゃ不満ですか」
…まるで蛇に睨まれている感じだ…。触らぬ神に祟りなしというやつだ。そっとしておこう…。
「変な心配はしなくて結構です。少なくともあちらの世界でも多少の能力は使えるみたいですし」
「でもよ、俺はもうさっきまでいた世界みたいな所はうんざりなんだが…」
…別に思い出したくもない記憶が勝手に出てくる。
「はぁ…それだから出来損ないなんですよ、貴方も」
全てを知ったような口ぶりだ。
きっと彼女はおそらく知っている。俺が今の世界でなにもできなかったことを。
「…私達が今から転生する世界は貴方がいた世界にはないものばかりです。だから安心してください!」
ニコニコとした女神からスマイルの眩しいオーラを浴びる。
ブルーライトより視力の低下が激しそうだ……。
「…でもよ、なんで俺にそこまでしてくれるんだ?」
「…それは、私に……から……」
女神はもじもじしながらこう言ったが、4割ほど聞こえなかった。
「……は? もう1回言ってくれ。頼む。」
「…バカ、こんなぼっちポンコツのくせに!」
「誰がポンコツだ!…いや、でも確かに俺は出来損ないだが……」
「ええい!うるさいですよ!はやく行きますよ!もっと近くに!」
近づいて暫くすると何やら意味がありげな詠唱をはじめた。
『………れらを導き、神の御加護があらんことを。
いきなり周辺が真っ白になり、俺と女神を包み込む。
(うぉ!?なんだこの感覚!?クッションに包まれるみたいだ…。)
「あの、それ、私のーーー」
……よく聞こえなかった。それに猛烈な睡魔が…。
*
一瞬だけ、昔の記憶が蘇る。
母親の冷たい眼。父親からの酷な扱い。
次産まれてくるなら、俺は…………。
「……ンコツさん、蓮!起きてください!」
目を開けるとそこは深い森の中だった。
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