俺は転生しても、仲間なんていらない。

斑目紫音

第1話 いきなり謎の声に話しかけられたんだが。

…僕はいつも比べられてばかりだ。


四人家族の次男として生まれ、優秀な兄をもったせいで、僕は日陰者。


某スーパーな兄弟に例えると僕は緑の方だ。


……いや。緑の方よりも酷い。


兄より努力しても報われず、なんの才能もない。両親からも「なぜ兄にできることができないんだ」と散々文句を言われ続けてきた。


…違う。

人には出来ることと出来ないことがあるんだ。


だから気づいてくれ…。 俺には才能なんてないんだ…!


あれもできないし、これもできない。


そう。何も出来ない出来損ないこそ、この俺天野蓮だ。


好きなことは想像することとゲーム。

嫌いなのは……他人と比べたりするヤツ。


16歳で学校には行かず、自宅警備に勤しんでいる。




「さて、新しいゲーム買いに行くか」


俺は今日もまた、現実から逃げていた。



「ありがとうござぃやしたー」


……やる気のない店員だ。でもきっと、俺はそれ以下なんだろう。


「はぁ…。俺は生まれてくる世界を間違えたのかもしれないな…」


深夜の誰もいない歩道で独り言を呟きながら帰っていたその時だった。


「…お前は、生まれ変わりたいか」


…何か聞こえたが恐らく気のせいだろう。


周囲に人は、いないしな…。


「…い…、おい!無視をするな無視を!」


「…なんすか。誰だか知らないけど、俺に関わらないでくれませんか」


周囲に誰もいないのに1人で声をだしている。


…まわりに誰もいなくて良かったなって思う。


「お前、この世界は好きか?」


どこから聞こえてくるかわからない声が、突然質問をしてきた。


そんな質問、『社畜に仕事は好きですか』って聞いてるもんだろ。


「……嫌いだ。こんな腐った世界、好きになれるはずがない」


『よく言った。なら、少しの間目を瞑っていろ。この世界、消してやろう』


なるほど、消すのか……って、え?


「……は? 何を言っているのかわからないんだが…?」


…頭の中は疑問で渋滞が発生している。


「黙って大人しく目をつぶって!」


これまでの口調と全く違う。なんなんだ、全く…。


仕方なく目を瞑る。恐らく、30秒ほど経過した後。


「もう開けてもらって大丈夫ですよ?」


瞳を開けると辺り一面真っ白な世界。

床もなく、壁もない。


どこかの大帝国Gよりも、何も無い。


そんな真っ白な世界にただ一人、少女が立っていた。



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