第206話 幻惑剣04




戦闘はユウキに任せて カルナは氷の盾作りをはじめた


魔力の消費を抑えるために 水と盾の型を出して盾の形に魔力を使って凍らせていく


「魔物の足止めをするための盾だから 大きさは魔物によって変えればいいのよ 小さな盾でも防げる魔物なら小さな盾で 大きな魔物の突進を防ぐなら大きく重い盾が必要だけどね」


「分かりました 使い捨てに出来るのがいいですね 戦闘中に魔力を使わなくて済みますし」


「それから アイテムボックスに空きがあるなら 普通の岩でもいいのよ 場所をとるけど 岩なら拾えるでしょ 盾の代わりになるわよ」


「分かりました 空きがある時は岩を収納するよにします」


「ふっふっ 空きが無くなれば 岩を出して捨てればいいからね アイテムボックスを有効に使えるようになれば便利よ」


「はい」





「ママ 終わったよ」


邪ブチハイエナの経験値は高く ユウキのレベルは上がり 昨日よりも楽に倒せるようになっていた


「偉い 頑張ったわね」そう言いながら ユウキを抱きしめる


「もう ママ 恥ずかしいよ」


「ふっふっ 我慢しなさい ママの幸せな時間なんだから それとも カルナちゃんに抱きついてもらいたいの」


カルナは真っ赤な顔で「私は好きな人がいますから」っと


「あら ふられちゃったね」


「僕は別に」


「いじけないのよ 女の子は沢山いるんだから 次頑張りましょうね」


「う~」


「カルナちゃんの好きな子はどんな人なの」


「えっ 私の その ユウキママの好きな人と同じ人です」


「ふっふっ ユウキ パパがライバルですって 強敵よ」


「う~」




恐ろしい魔物の階層を笑いながら進んで行く


そして


90階のボス部屋に


カルナは震えながら「金獅子」っと呟く


ユウキの母親は笑いながら「ユウキ 本気出していいわよ」っと


すると ユウキは頷き


「必殺 幻惑剣 奥義」


美しい剣を金獅子に向かって振るう


鋭い刃のように霊魂力が飛び出し金獅子に向かっていく


金獅子は避けようとしたが


軌道を変える霊魂力の刃は避けることが出来ない


真っ二つになり


お金を出した


「えっ 今のは 何ですか」


ユウキが「幻惑剣だよ」っと


「もう 本当は」


「ふっふっ ユウキの使った剣は私の剣よ 私の霊魂力を込めて持たせているのよ」


「それで」


「もう ママ バラしちゃダメだよ 幻惑剣のネタばらしはダメだよ」


「ふっふっ そうだったわね カルナちゃん 2人の秘密だよ」


「えっ そのセリフは」


「ふっふっ 彼の口癖ね」





幻惑剣


第4の英雄がユウキの母親との試合稽古で使っていた防御の技


それをユウキが気に入り 幻惑剣と名前をつけてつかっている


1、基本技はすり抜ける剣 相手の剣が当たる瞬間にアイテムボックスに収納し 同時に似た剣を取り出す 同じ剣を取り出さないのは時間のロスを防ぐため 収納して取り出すには時間がどうしてもかかってしまうので 違う剣を取り出すのだ そして 相手に当たる瞬間に また収納して 最初の剣を取り出す アイテムボックスから取り出した剣にはスピードがついていないため 相手にダメージを与えずに済む手加減の剣 単純な技なのだが動いている剣を収納するのは難しく稽古が必要である 収納するためには収納する物の重さ 形などを把握する必要がある 新しい武器では難しいが慣れ親しんだ武器で日々稽古を積むことで可能となった技である


2、剣を投げる アイテムボックスから取り出し投げつける ユウキは1本の剣が無限に見えると言っているが 飛ばした剣が地面に落ちているのを見られてしまうのでバレバレの技である 剣に魔力を込めて軌道を変えたりもすることも出来る


3、伸びる剣 これも単純に剣を収納して 長い剣を取り出すだけでの技 攻撃が終われば収納して 元の剣を取り出す


4、巨大な剣 これも単純に剣を収納して巨大な剣を取り出すだけの技 重い剣なので 高い位置から取り出し振り下ろしたり 相手の上空で取り出し落としたりする技


5、阿修羅 剣を持った6本の作り物の腕を出し 相手を驚かせるだけの技 びっくりしている隙をつき 攻撃する技


6、幻惑剣 剣武の舞 2本の剣を持ち舞うように円を描きながら攻撃する技 魔物に当たり剣の動きが止まってしまう場合はすぐに手放し 別の剣を取り出し動きを止めずに舞い続ける技


7、無限の刃 自分の霊魂力を込めた剣を次々に取り出し 霊魂力を鋭い刃のように飛ばす技 沢山用意しているが ピンチの時にしか使わない技 戦わない日に霊魂力を込めて準備している


8、幻惑剣 奥義 母親の霊魂力を込めた12宝剣を振り 霊魂力を鋭い刃のように飛ばす技 一度しか使えない最強の技である 使用すれば 母親に頼み霊魂力を込めてもらう必要がある




ユウキは100の技があると言っているが 今はまだ無い


これから 実戦を積み いろんな経験をすることで増えていくのだろう





100階のボス部屋に入ると


巨大なゴーレムが


それも


「黄金のゴーレム 金色ゴーレムですよ 防御力が高く攻撃も魔法も通じないと言われているゴーレムです 逃げましょう」


「ママ 本気出していい」


「ふっふっ 頑張りなさい」


「無理ですよ~ 攻撃が効かないんですよ」


「必殺 幻惑剣 奥義」


ユウキが12宝剣で霊魂力を刃にして飛ばす


5メートルもある金色ゴーレムは避けずに真っ直ぐにゆっくりと向かってくる


霊魂力の刃は金色ゴーレムの胸に


ドガーンと直撃し 巨大なゴーレムはふらつくが


「効いてませんよ」


「ママ ダメみたい」


「ふっふっ そうみたいね じゃあ 貸して」


「うん」


ユウキの母親は愛剣 12宝剣を手に取り 霊魂力を12宝剣に


更に12の宝石が輝き出す


12の宝石は全てSSSSS級の魔石 12の宝石が周囲から魔那を吸収していく


その剣の美しさに カルナは戦いを忘れ「綺麗」っと呟く


霊魂力と大量の魔那が混ざり合い 神秘的な輝きを生み出している


「持ちやすい大きさに斬ったほうがいいかな」


「うん そうだね さすがに重そうだよね」


「えっ」


綺麗な光が金色ゴーレムの足に 腕に 首に そして 胴体を十字に


ユウキにも カルナにも ユウキの母親の剣の軌道は早すぎて見えないが


綺麗な光だけが


金色ゴーレムは音もたてずに バラバラに


ドスン ドスンと地面に 腕が 頭が そして 4つに分かれた身体が


・・・


そして お金と宝箱が出てきた


・・・


カルナは口を開けたまま ぱかーんと見ていたが


ユウキは母親の実力を知っていたので いつも通りに


「ママ 開けていい」


「いいわよ まだ 100階だから対した物は出ないと思うけどね」


「指輪だよ ゴーレム召喚の指輪 あっ 外れか~ A級だよ」


「えっ 当たりじゃないの」


「だってA級だよ SSSSS級とかが欲しいんだよね」


「えっ そんなの聞いたことないよ A級は国宝級なのよ」


「そうなの じゃあ これはカルナにあげるよ ママ いいでしょ」


「ええ いいわよ 私はいらないし 500階まで潜れば S級の指輪くらいなら沢山出るんじゃないのかな」


「えっ 500階ですか 何階まで潜ったことがあるんですか」


「私達は 今回が初めてよ 天魔の塔の最上階にはSSS級があるでしょ 天魔の塔より強い魔物が出るダンジョンなら もっといい物があるんじゃないかな」


「あっ そういえば ノルン様に見せてもらいました 英雄様と一緒に天魔の塔を攻略して手に入れたSSS級の弓と鎧と盾と兜を」


「ふっふっ まあ 天魔の塔の装備はユミル様が作った物だけどね」


「えっ ユミル様? あの伝説の?」


「このSSSSS級の12宝剣はユミル様に作ってもらったのよ ユミル様の最高傑作なのよ」


「そ そうなんですか 何だか 凄すぎて 頭がついていけないです」


「ふっふっ で 何階まで降りる?」


「えっ 私は既に限界ですよ 足手まといなので」


「2人くらいなら 守りながら進めるわよ ユウキはどうしたい」


「う~ん 魔物が強すぎて戦えないから面白くないよ」


「ふっふっ そうね じゃあ 120階まで 走って進んでから ダンジョンを出ましょうか」


「うん」


「えっ 120階ですか」


「ふっふっ 全力で走るわよ 1日に5階進めば4日目にはダンジョンから出られるからね」


「えっ でも 大丈夫なのでしょうか」


「逃げるのも稽古なんだよ どうやって逃げるかを どうやって攻撃を防いだり かわしたり出来るのかを考えながら走るんだよ ねぇ ママ」


「ふっふっ そうよ 強い魔物に遭遇した時にどうやって逃げればいいのか 実戦での稽古をしておいた方がいいわよ」


「わ 分かりました 全力でついていきます」


「じゃあ まずは僕からだね」


「えっ」


ユウキが母親の背中に


「全力で走るからね 疲れたらユウキと交代するからね」


「は はい」





ユウキの母親はユウキをおぶったまま 12宝剣を振り


遭遇した魔物を瞬殺していく


カルナは毎日ダンジョンで鍛えていたのだが


魔物を倒しながら走るユウキの母親のスピードについていくのが やっと


どのように魔物を倒したらいいのか 考えながらとか言っていたのに 魔物は瞬殺されているので考える時間はない


・・・


ユウキと交代で ユウキの母親の背中に乗ったカルナは


昔を思い出し クスクスと


・・・


「どうしたの カルナちゃん」


「えっ いえ 昔のことを思い出して 英雄様の背中におぶられてレベル上げをしてもらったことを思い出して」


「ふっふっ そうだったの」


「また 会えますよね」


「ふっふっ カルナちゃんは可愛いから必ず会いに来るわよ」


「次に会うときまでには 強くなって 英雄様の役にたてるようになりたいです 助けてもらってばかりなので」


「無理はダメだからね 可愛い顔に傷をつけると悲しむわよ 怪我だけなら治すことが出来るけど 分かっているわよね」


「もちろんです 無理は絶対にしません レベルを上げてくれた英雄様は 強くなった私に1年間は兎の魔物のみと戦うようにと 基本が大事だと 毎日走るようにと 無理はダメだと 優しく何度も言ってくれました 必ず また 会うために無理は絶対にしません」


「ふっふっ そうね」






120階のボス部屋に入ると


巨大な龍の骸骨の魔物が


もちろん 瞬殺 


一瞬でバラバラになり


宝箱とお金を出した


・・・








ユウキ達がダンジョンを出ると


カルナ「ノルン様」


ノルンが教団支部で来ていた


「久しぶりね カルナ 面白い物が手に入ったのよ ほら これ」


「絵本ですか」


「ふっふっ カルナの名前が出てくる預言書よ」


「えっ もしかして 百英雄と旅する人達が手に入れるという予言書ですか」


カルナは嬉しそうに予言書を見る



すぐに顔が曇る


ユウキママ「んっ どうしたの 何か変なことでも書かれてたの」


カルナ「えっ その え~っと」


ノルン「ふっふっ」


ユウキ「どうしたの」


カルナ「う~ こんなの嘘です」


カルナはムッとした顔を


ユウキ「ねぇ ねぇ 何って書いてたの」


カルナは小さな声で


「私が百英雄様と結ばれるって書いてます」


ユウキ「百英雄?」


ノルン「百英雄とは たぶん 英雄様の 第4の英雄様の子供達のことだと思いますよ」


ユウキ「えっ それじゃあ 僕と」


カルナ「違うわよ こんなの嘘」


ユウキママ「どんなことが書かれてたの 百英雄の名前は?」


カルナ「名前は書かれてませんが はぁ~ 一番年下の百英雄様と結ばれると」


ユウキ「えっ へぇ~」


ユウキママ「ふっふっ また振られたね」


ユウキ「ムッ そんなんじゃないよ」


ユウキママ「でも 変ね 彼から聞いたんだけど その予言書は彼と結ばれる人のみにしか現れないみたいなことを言ってたわよ 予言書は本来 狂った彼と戦う運命にある者達に現れると言ってたかな?」


ノルン「そうなんですか」


ユウキママ「まあ 黒の予言の書が出た時がそうみたいなんだけどね」


ノルン「一番年下の百英雄様に心当たりはありますか」


ユウキママ「うんん 彼が最後にどこに訪れたのか分からないわ 最初の頃は ずっと交代で見守っていたんだけど あかりちゃんとあおいちゃんがいるから 安心して 時々しか見てなかったのよ 久しぶりに監視の玉で様子をみようとしたら 何も映らなくなってたのよね 智王様が作った監視の玉で壊れてもないみたいだから映らないはずがないって言ってたけど なぜか映らないのよね」


ノルン「そうなんですか 無事ですよね」


ユウキママ「大丈夫よ あかりちゃんとあおいちゃんに敵う者なんていないし ちゃちゃちゃん ばにらちゃん ちょこちゃんも強いからね」


ノルン「これからどうするんですか」


ユウキママ「ユウキの修行をかねて旅を続けるよ」


ノルン「私の子供もユウキ君に負けないくらいに鍛えないといけませんね 第4の英雄様を名乗っても恥ずかしくないくらいに」


ユウキ「僕が絶対に最強になってみせる 他のきょうだい達に負けないからね」






ユウキと母親は旅を続けた


ユウキのきょうだい達が幸せにくらしているかを確かめるために


彼の情報を探すために


いろんな国や他の種族の国に旅をして 文化や価値観や考え方等を学ぶために


沢山の人との出会いで ユウキは身体の強さだけでなく 心も精神も成長していく


人族の常識に囚われることなく


正義とは何かを学ぶ


愛とは何かを学ぶ




ユウキの正義って何?


もちろん 可愛い子を幸せにすることだよ


正解


ママの正義って何?


ユウキを幸せにすることよ


正解


ふっふっふっ




最強の百英雄と言われるユウキの旅は続く


・・・









※読んでくれた人ありがとうございます


まだここまでしか書いてません


7月24日から再開予定です


週1で 水曜日 14:00投稿予定


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魔法の使えない最強の魔法使い ~英雄として転生した俺は高い魅力値のおかげでハーレム人生~ あつし @atusi0523

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