第205話 幻惑剣03



「カルナちゃんも一緒にどうかな」


「いいんですか」


「ええ 道案内よろしくね 何階からでもいいわよ」


「ユウキママは その」


「ふっふっ 私は第4の英雄より強いから安心してね」


「えっ それは」


「本当よ 一緒に修行していたのよ」


「えっ そうなんですか 第4の英雄様の話 聞かせてもらってもいいですか」


「いいわよ 1年間毎日一緒だったのよ」



カルナの案内で3人でダンジョンに入ることに


「何階に転移しますか」


「一番下でいいわよ」


「その このダンジョンの記録は68階ということになっていますが 60階からでいいですか」


「ふっふっ カルナちゃんはもっと下まで潜っているんでしょ」


「えっ どうして それを」


「メイジーが教えてくれたわよ」


「えっ バレていたんですか 今は85階までは攻略出来ているんですが86階の魔物が厳しくて」


「へぇ~ そこ行ってみましょ」


「その~ 邪ブチハイエナという魔物なんですが」


「群れで襲ってくるわけね」


「はい 1匹でも強いですよ ユウキは大丈夫なんですか」


「私がいるから問題ないわよ ユウキ 大丈夫よね」


「うん 盾で防げば問題ないよ 危ないと思ったら 重い盾で足止めすれば ママが倒してくれるからね」


「こら 自分で戦うことを考えないとダメでしょ 私がいつも一緒とは限らないのよ 倒さなくてもいいから どうやったら逃げれるのかを考えないとダメよ」


「うん 全力で逃げ切ってみせる」


「第4の英雄様みたいですね」





80階に転移して進むと


「おっ ドラゴンなのね 茶ドラゴンかぁ ユウキ倒せる」


「うん 問題ないよ」


全身が茶色いドラゴン 3メートルしかない中型のドラゴンで翼もないので地ドラゴンの一種だと呼ばれている


「必殺 幻惑剣」っと叫び 自分の霊魂力で強化した鉄の剣を青ドラゴンに向かって次々に投げていく


8本目の剣が刺さった時 茶ドラゴンがユウキ目掛けて突進を


ユウキはジャンプし「必殺 幻惑剣」っと叫び


剣を振り下ろす


振り下ろす瞬間にユウキの剣は巨大な重い剣に変化し


茶ドラゴンの体を切り裂いた



倒すまでは出来ずに 茶ドラゴンは尻尾を振って 着地したユウキを狙う


「ムッ しつこい」っと呟き 再び ジャンプして 「必殺 幻惑剣」っと叫び 巨大な重い剣を10本 茶ドラゴンに向かって落とした


10本の剣が刺さった茶ドラゴンはお金を出した


「幻惑剣の意味ないわよね」っとカルナが言うと


「本当は もっと巨大で重い1本の剣にする予定なんだよ そうすれば 剣が巨大になったように見えるでしょ」


「槍とかにした方がいいんじゃないの」


「ダメだよ 幻惑剣って名前決めたんだから 剣じゃないと」


「名前が先なのね 最初に普通の槍を取り出して幻惑槍とかでもいいんじゃないの」


「ダメダメ 僕は剣士なんだから 剣で戦うんだよ 最強の剣士になるんだ」






茶ドラゴンはユウキに任せて 母親とカルナは第4の英雄の昔の話をしながら進んでいく


ボス部屋には5匹の茶ドラゴンがいたが


ユウキの母親が「食事にしましょ」っと言って 5匹の茶ドラゴンを一瞬で切り裂き倒してしまった


ユウキはいつも見ているので は~い っと言って食事の準備を


「どうしたの カルナ」


「いえ その 本当に強いのでびっくりしました 本当に第4の英雄様よりも強いと思ってなくて すいません」


「ふっふっ 私の方がお姉ちゃんだったからね 追いつかれないように 私も必死で稽古してたのよ」


「ママはね ずるいんだよ 僕よりも稽古しているんだよ」


「ふっふっ ユウキに負けてられないからね」


「そうですね 私もユウキに負けないように もっと頑張らないと」


「う~ 僕は最強になるんだよ」









次の日 朝の稽古を終え 86階に


進んでいると 1匹の邪ブチハイエナが ユウキ達に気づくと大きな声で叫び出した


すると すぐに邪ブチハイエナが集まってきた その数 およそ30匹


「ユウキ 1人で大丈夫」


「うん 任せて」


ユウキはそう言うと剣を取り出し「必殺 幻惑剣」っと叫び 剣を邪ブチハイエナ目掛けて投げ始めた


ユウキの投げる剣のスピードは速く 更に 避けようとしても軌道が変わり 邪ブチハイエナに刺さっていく



1本刺さっただけでは倒れてくれない


邪ブチハイエナはユウキを囲むように移動して 一斉に襲い掛かる


「千の盾」っとユウキが叫ぶと複数の盾が表れ ユウキに当たりそうな邪ブチハイエナの攻撃を防いでいく


盾に当たり 隙が出来た邪ブチハイエナに向かって「必殺 幻惑剣 2刀流」と叫び


普通に2本の剣を持ち 切り裂いていく


ユウキは邪ブチハイエナを次々に倒していく



倒す数より集まってくる数のほうが多く


邪ブチハイエナの数は50匹を越えていた


「どうしますか いずれは盾がなくなりますよ」


「ふっふっ 心配ないわよ ユウキは強いの いい戦闘経験になるわよ」


剣を2本使うためには両腕共に力が必要なのだが ユウキの力は異常なほどに強い 防御のために2本の剣を使う者もいるが 防御の必要のないユウキは攻撃のみに2本の剣を使う


移動しながら 2本の剣を舞うように円を描くように振るう


ユウキの周りには邪ブチハイエナの死体の山が 盾の山が


ユウキの体力は異常に高い


疲れをまったくみせずに剣の舞を続けて 邪ブチハイエナを切り裂いていく


カルナがユウキを応援すると ユウキは慌てたように


「必殺 幻惑剣 剣武の舞」っと叫んだ


「ふっふっ 忘れてたのね」っと母親は余裕の表情でユウキを見守る


カルナとユウキの母親にも邪ブチハイエナは襲ってくる



ユウキの母親が瞬殺するので カルナの出番はない


1時間


2時間


3時間


ユウキの体力は尽きない 実戦は稽古よりも体力を使うが ユウキの稽古は何時間でも戦えるように想定して行われている 1日中戦いながら逃げれるように稽古してきたユウキには 3時間くらいは余裕だった


ユウキの体力は尽きないが


邪ブチハイエナの数は残り6匹


応援に駆けつけてくる仲間はいない


そして


思い出したように


「必殺 幻惑剣」っと叫び


最後の1匹を切り裂いた


「凄い」カルナは呟く 驚くしか出来なかった 無限に現れる邪ブチハイエナに逃げるしか出来なかったのに 自分より弱いと思っていた小さな子供が


倒した邪ブチハイエナの数は500匹前後 出した剣の数は200本以上


そして 盾が5000枚以上


母親は邪ブチハイエナを回収 ユウキは自分の装備を回収していく






「凄い量の盾ですね」


「ふっふっ カルナちゃんのアイテムボックスにも沢山入るでしょ」


「そうだけど ここまで考えたことなかったです」


「ふっふっ 智王様の教えなのよ 一生分収納するようにってね 使い切れないくらい大量に入れておけば安心でしょ」


「そうですけど」


「氷の盾でもいいんだよ 氷の盾なら自分でも作れるし 魔法の稽古にもなるからね 使い捨ての盾で便利だよ 僕は3万枚以上持っているよ」


「えっ 氷の盾」


「ふっふっ 逃げる時に便利なのよ 魔法に見えるし 回収する必要がないからね 魔力の強い人に作ってもらえば 普通の盾よりも硬いのよ 氷魔法が得意な人で魔力が大きい人なら 一度に大量に作れるしね」


「ユウキは魔法も使えるの」


「うん 今の戦闘でもかなり使ったよ」


「えっ そうなの」


「魔法に見えないように使うのがいいんだよ」


「ユウキには一通りの魔法を覚えさせているわよ まあ 剣士に見えない魔法は使いたがらないけどね」


「だって 最強の剣士なんだよ それに魔法じゃ 2人に勝てないんだから」


「ふっふっ そうね」


「凄い魔法使いがいるんですか」


「母親違いの同い年の2人の妹は魔法使いなのよ それに年下のきょうだい達の魔力も凄いの 最強と呼ばれるようになるには魔法じゃだめなのよね」


「そうですね 第4の英雄様が最強の魔法使いですから それを越えるのは難しいでしょね」


「ふっふっ そうね 彼が最強の魔法使いだったわね ふっふっふっ」

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