第179話 千エン05



「また 第4の英雄か」


「はい そう名乗っているようです 5歳の男の子でユーグと言う名前だそうです」


「これまでの情報にあった第4の英雄とは違う名だな」


兵士の報告を聞いていると 息子が 第6王子 バイナスがやって来た


「父上 また 偽者が出たようですね それも この王都に出るとは 私が行って捕まえてきましょう」


「いや 待て 何も損害は与えられていない むしろ 我々がしないといけない民への炊き出しをしてくれているのだ 捕まえる必要はない」


「父上 甘いですよ 何か目的があるはずです 住民を味方につけて反乱を企んでいる可能性もあるんですよ」


そうだが 第4の英雄様を名乗る者 弱き者を助ける英雄


この国を救ってくれた第4の英雄を名乗る者


・・・


もう 英雄様を裏切りたくはない


・・・





6年前 アブソート教団が この国を乗っ取るために 貴族や大商人を味方につけ反乱を企てていた


食料を買占め 人々の不安を煽り 反乱を起こさせようとしていた



第4の英雄様が阻止してくれた


更に


アブソート教団を罠にかけ


この国や周辺国にいたアブソート教団を壊滅させてくれたのだ


・・・




英雄様はギルドに依頼して アブソート教団の企みを調べていた


・・・


しかし ギルド内にもアブソート教団の信者がいた


英雄様に企みがバレているのが分かり


彼らは英雄様が泊まっている宿に火をつけた


しかし それも失敗に終わる


・・・


その後 英雄様は姿を消したのだが


・・・


彼らは焦っていた


彼らは恐れていたのだ


第4の英雄は理不尽な英雄


最強の魔法使い 逆らう者には容赦はしない


この国にいたアブソート教団の幹部達は周辺の国にいる信者も総動員 更に味方につけていた貴族や大商人達も総動員して


指名手配魔物退治に出かけ


ほぼ全滅した


生き残りは


満身創痍の者が たったの3名だけ


・・・


生き残った者達は


何度も同じ言葉を繰り返し呟いていた


「英雄に騙された」っと


・・・


生き残った3名を捕らえ


詳しく聞きだすと


英雄と戦うために 指名手配魔物を捕らえ 操る計画だったっと


神の力がなくても 倒せたと聞いていたのにっと


・・・


信者のギルド職員が聞いたと


指名手配魔物を復活させようとしているやつらがいると


・・・


それなら 我々も倒して操ることが出きるはずだと


複数の指名手配魔物を召喚の指輪に封印して


操れば 第4の英雄に勝てるはずだと


・・・


第4の英雄に作戦がバレて焦ったこの国のアブソート教団の幹部達は


英雄に勝てる力を手に入れるために 指名手配魔物を操ろうとしたのだった


しかし


返り討ちに


まったく 歯がたたなかったと


ダメージをまったく与えることが出来なかったと


多くの信者 兵士達は逃げ出そうとしたのだが


逃げることが出来たのは


たったの3人だけ


・・・


絶対に戦ってはならない魔物


指名手配魔物


・・・


常識だったのだが


・・・


騙されたと


・・・


簡単に倒せたとの情報があったのに


・・・


夕飯の一品として食べるために


・・・


巨大な恐ろしい指名手配魔物を1人で簡単に倒したと聞いたのに


・・・


神の武器がなくても倒せると聞いたのに


・・・


全ては第4の英雄が流した罠だったのだ


・・・


ギルド職員にも フラテール教団にも アブソート教団の信者が入り込んでいるのがバレていたのだ


・・・


英雄に騙された


・・・


捕らえた3人は何度も呟き


・・・


息を引き取った


・・・





アブソート教団は壊滅して反乱は阻止された


だが


多くの貴族が取り込まれていた


この国の貴族達は多くの兵士を連れて 大商人達は多くの冒険者を雇い 指名手配魔物を倒しに行き


3人以外は


・・・


魔物を倒せる者が減ってしまった


せっかく 新たな食材を 料理を開発してくれたのに


・・・




王として何も出来なかった


・・・




3年前 南の国々に魔王軍が攻めて来た時


汚名を晴らそうと


多くの兵を援軍に出した


しかし


誰も帰って来なかった


兵を率いた 長男も 次男も 三男も


誰も帰って来なかった


・・・




人々が貧困に喘いでいるのに


私は王として何も出来ない


・・・


この国の民を救ってくれるなら 偽者でも構わない


・・・


「親衛隊 出かけるぞ」


私はすぐに息子の後を追った


この眼で確かめなければ


・・・

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