幕間 千エン

第175話 千エン01




限界だった


仕方ないよね


他に方法なんて


・・・


私は自分を売った


・・・


私は手を繋ぎ ついて行く


食料は高騰していているので


2万エンは欲しかったのに


・・・


私は千エンで自分を売った


・・・


「千エンでいいよね」


「えっ えっ」


どうしよう 千エンだと何も買えないのに


・・・


お金持ちそうなのに


千エンだなんて


しかし 私は断れなかった


子供好きで 初めて好きの大人は多いって聞いていたのに


千エンだなんて


やつれている私の価値なのだろうか


・・・


初めては綺麗なベットで


って思っていたのに


古い 壊れかけの空家に


・・・


私の初めては


大人の女性


子供連れの


・・・


男の子は私に


「臭いね」っと言って


大人の女性に 母親に頭を叩かれていた


・・・


「ふっふっ 私は昔 ここに住んでいたのよ」


えっ もしかして 貧乏なの


大人の女性も その子供も高級そうな服を着ているのに


・・・


「エリック ここに出して」


「うん いいよ」


5歳の男の子エリックが部屋の中に大きく立派なお風呂を出した


凄いお風呂 こんなお風呂なんて見たことがないよ


「じゃあ 一緒に入りましょうか」


きた ついに 私は


服を脱ぎ お湯で身体を洗う


エリックは じーっと私を見てくる


痛いことをされないといいけど


・・・


「ロナちゃん 早くお風呂に入って 寒いでしょ」


「えっ は はい」


ぎゅるるる~


お腹の声が


ハズい


「ゴメンなさいね お風呂の中でいいから これ食べて」


「えっ えっ」


エリックの母親は 白いパンに何かを挟んだ食べ物を


「ふっふっ サンドイッチって言うのよ 美味しいよ これは ミカンの果汁」


「えっ えっ」


何 これは 食べてもいいの


私は戸惑いながら そっと口に


お 美味しい


どうしよう 止まらない


もう 一口だけ


残りは妹に


「どうしたの 口に合わなかったの」


「いえ 美味しいです」


「ふっふっ よかった おかわりは沢山あるからね メインの食事は風呂から上がってからね」


えっ えっ どういうこと


「あ あの」


「どうした?」


「い 妹がいるんです 残りは持って帰っていいですか」


「ふっふっ ロアちゃんにも妹がいるんだ これは妹の分 だからロアちゃんは残さずに食べていいわよ」


えっ えっ


「それから 食べ終わったら 妹も連れて来ていいわよ」


えっ


「私だけではダメですか」


「ふっふっ 何もしないから大丈夫よ 嫌なことはしなくていいの ロアちゃんはこれから幸せになるんだから これから沢山食べれるようになるのよ」


えっ 沢山? 幸せ?


「私は何をすれば 私はあなたの奴隷に」


「ふっふっ 大丈夫よ 何も心配する必要はないの 嫌なことはしなくていいのよ」


そう言って エリックの母親は私を優しく抱きしめてくれた


涙が


助けてくれるの


・・・


私を助けてくれるのかな


・・・


「これ 着てね 後で服を買うから」


えっ こんな綺麗な服を


「私も昔 千エンで自分を売ったのよ」


「えっ」


「ママも」


「ふっふっ そうよ」


「えっ」


「パパに」


「えっ」


「ふっふっ そうよ」


やっぱり 私は


「私は何をすれば」


「ふっふっ そうね じゃあ エリック 目を瞑って キスよ」


エリックは真っ赤な顔をして目を瞑る


そして チュッと ほっぺにキスを


「ふっふっ エリック どうだった」


エリックは私を見ながら


「うん 良かった ドキドキした」


えっ えっ 私は何もしなくていいの?


「ふっふっ だって」


そうだ


「妹に 妹に このサンドイッチとミカンの果汁を届けてもいいですか」


「連れてきなさい エリック 危険だから 一緒について行って」


見張りなのかな 逃げないのに


・・・


美味しい食事が出来て 私は浮かれていたのだろうか


綺麗な服を着て 私は浮かれていたのだろうか


私はサンドイッチとミカンの果汁を隠さずに手に持って歩いてしまっていた


・・・


「よこせ 俺に食べ物を」


12歳くらいの男が5人も 手には木の棒を持っている


これは妹の分なのに 私の不注意で


絶対に敵わないのに


エリックが


「僕の女に手を出すな」っと


ど ど どうしよう


「生意気な 痛い目に合いたいのか やれ」


リーダーの男が言うと 4人の男が


あれっ 転んだ


「なっ 何をした」


「僕の女に手を出すと怒るよ 可愛い子には優しくしないとダメってママが言っているよ」


「くそぉ 食べ物を」


「お腹空いたなら孤児院で待っているといいよ 炊き出しがあるんだから」


えっ 孤児院?


「孤児院なんてないわよ」


「そうなの ママは昔潰れた孤児院があったって言ってたんだけど でも炊き出しはするからお腹いっぱい食べれるよ」


「なっ 何を言っている 炊き出しだと」


「うん そうだよ みんなで解体して 肉を食べるんだよ」


「に 肉だと そんなはずないだろ う 嘘をつくな」


「僕は嘘なんかつかないよ 街の子供達にも炊き出しのことを伝えてよ」


「本当なんだな 嘘だったら許さないからな」


「うん ロアちゃんが魔物を倒すんだから」


「え~ わ わたし~」


何を言っているのよ 男達も私を見ているよ


「絶対に嘘じゃないんだな」


えっ えっ どうして私に聞くの


しかしエリックがすぐに


「本当だよ」っと


そして


エリックは私を見ながら


「ねぇ」っと


え~


・・・


サンドイッチとミカンの果汁は奪われずに済んだけど


・・・




「お姉ちゃん」


「ただいま シア おみあげがあるのよ」


「えっ 食べ物」


「うん」


「どうして お姉ちゃん 何をしたの もしかして」


「うん」


「いらない 食べ物なんていらないから お姉ちゃん いなくならないで」


「シアちゃんもおいでよ」


「妹には手を出さないで」


「もう 嫌なことは何もしないって言っているだろ 可愛い子を幸せにするのが英雄なんだよ」


「えっ 英雄様?」


「そうだよ 僕は第4の英雄だよ」


ええ~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る