第43話 オルレンの森03




おっ 看板か


「この近くにダンジョンがあるってさ」


「ダンジョンって危険なんでしょ それよりも 

早く森を抜けたほうがよくない」


「私もダンジョンは危険な魔物の巣窟って聞いたけど」


「そうだね ダンジョンはまた別の機会にしようか

森も明日か明後日には抜けられるだろうしね」



おっ 冒険者かな


まだ 遠いが 人影が見える


ダンジョン目当てかな


あれっ 1人で


不思議に思ったが


鑑定すると盗賊だった


走ってどこかに向かっているようだが


う~ん 何かあるのかな よし


「ちゃちゃ ここは任せていい」


ちゃちゃはコクりと頷いた


「じゃあ ちょっと見てくるね 人数分の鋼装備一式を置いていくから」


森に入って8日間でクレスとイネスのレベルは50まで上がってしまった

ますます冒険者に憧れそうで ちょっと心配だ


俺はこっそりと盗賊の後を追う

しばらく 後をつけて進んでいると盗賊は洞窟の中に入って行った

ここがアジトなのか 近くだし 1度戻るか


俺が戻ると全員 鋼装備を着ていた


「皆 着たんだ ちゃちゃまで う~ん ちゃちゃは

やっぱり ミニスカートのほうが……」


俺がそう言うと ちゃちゃは鎧を脱ぎ

それを見た ばにらとちょこも慌て鎧を脱ぎだした


「まったく 危ない盗賊がいるから 着るように出したんでしょ」


「いや 何となく出しただけだよ」


「私はこのまま着ててもいい」


「いいよ こんな可愛い鋼の戦士様に守って貰えるなんて光栄だね」


「じゃあ 私もこのままね」


俺は鎧を3つ収納して盗賊の入って行った洞窟に向かった


すぐに洞窟には着いたが 外には盗賊がいない

う~ん どうしようか

隠れた場所に見張りがいるかも知れないし

罠があるかも知れない

クレスもイネスも同じ考えだったので

俺達は しばらく外で様子を見ることにした


「多いのかなぁ」


「どうだろ しかし こんな危険な森の中にアジトがあるってことは 強いのかもね」


「ダンジョンに来た冒険者を狙ってるんじゃない

ダンジョンでお宝を手に入れて帰る時を狙ったり」


「じゃあ お宝を沢山持っているかもね ちゃちゃは和弓 ばにらとちょこは弓 矢は沢山置いていくから どんどん放っていいからね」



俺は洞窟の前に移動して 休憩している冒険者のふりだ

まあ こんな森の中を1人で休憩している冒険者なんていないと思うけどね


洞窟の目の前の木にもたれ掛かって待っていると

中から盗賊が1人 いや ぞろぞろと


おおっ やっと出てきたか


「えっ 盗賊」


って しらじらしいかな


俺は後退りし 森の中を走って逃げる


案の定 盗賊達は走って追いかけてきた


すぐに矢が飛んできて 盗賊達に命中していく


外れる矢はない


全て命中している


ばにらとちょこも ちゃちゃに魔法を習ったのだ


「撤退 待ち伏せだ」


1人の盗賊が叫び逃げ出そうとしたが……


誰も洞窟の中まではたどり着くことが出来なかった



俺は3人の矢で死んだ盗賊を回収していく


やはり 魔法で軌道を修正出来るメリットはとても大きいようだ

あまり狙いを定めずに放てるので 次々に矢を放つことが出来る 更に矢を強化して速度も上げられるので攻撃力も高い


練習すれば 1度に複数の矢を同時に放ったり出来るのかな それが出来れば更に凄くなるが……

複数の矢の軌道の修正が出来るのか 魔力の消費量がどれくらい違うのか 検証したほうがいいかな 


俺が幻影の矢を沢山放ち 3人に1度に大量の矢を放ってもらえば 新しい魔法っぽいことが……

市販の矢より 魔法で氷の矢を作ったほうが……

それなら 前もって 氷の矢を作りアイテムボックスに収納しておけばいいかも

人前で戦う時用に……

う~ん


ぼんやりと考えながら回収していると


おっ こいつはまだ息があるな


「おい 中には まだ仲間がいるのか」


「うっ ガキが まさか囮たったとはな 

貴様ら 後悔することになるぞ

俺達のボスはあのルーク様だ

俺達はルーク盗賊団 命が欲しければ

俺が交渉してやってもいいぞ どうだ」


「まさか あの 交渉で何とかなるのか」


「ああ 俺を逃がしてくれるなら 話をつけてやるぞ」


盗賊はニヤリと微笑み洞窟に向かっていく


って ルーク 誰だよ 有名なのか


「ぐわっ 貴様」


えっ


逃がした盗賊の肩に矢が


また 矢が盗賊に 


あれっ 珍しい 外れたか


「くそっ 殺すつもりかよ 必ず殺す 逃がさないからな」


そう言いながら洞窟の奥に逃げていった


まあ よかったけど


今の矢は脅しなのか わざと外したのかな

ちゃちゃ達も芸が細かいな



倒した盗賊は23人

3人に掛かれば ほんの一瞬で倒せるのか


俺がちゃちゃ達と合流すると イネスが弓を持っていた

ああ 今のはイネスか ちゃちゃ ばにら ちょこは魔法を使っているから100%だしね


「今のはイネスが」


「そうよ どう なかなかでしょ 矢に魔法を使って 命中させたのよ」


あれっ 魔法を使っても外すのか……ちゃちゃ達が才能があるのか それともイネスに才能がないのか


「凄いね」


俺が褒めるとイネスが嬉しそうに


「ちゃちゃちゃんに教えてもらって 毎日稽古したからね 今はね 2回に1回は当たるようになったのよ」


へぇ~ いつの間に


「もう 自慢にならないよ ちゃちゃちゃん達の外したところなんて 見てないよ」


「だって 私は弓も魔法も使ったことがなかったのよ まだ5日目だからね」


ばにらとちょこも同じだけど まあ 言わない方がいいよね


「クレスは」


「私は10発中3発くらいかな 魔法で軌道を変えるのが上手く出来ないよ」


へぇ~ イネスのほうが上手いのか

だとすると3人が凄いのかな

いや そういえば ちゃちゃ達とは会話が……

ジェスチャーだけで教えてもらって ここまで出来るようになったのは凄いのかな

きちんと教えてもらえば クレスとイネスも



あれっ 盗賊かな


洞窟じゃない所から盗賊達が出てきた


その数は……50 60



いや  80人以上か

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