第44話 オルレンの森04




ぞろぞろと盗賊達が


「みんな 盗賊が出てきたよ どんどん放っていいからね」


俺は弓を2つ取り出して 持っていなかった クレスとばにらに渡した


盗賊達はいきなり襲ってこないで 距離を取って左右に別れ 俺達を包囲するつもりのようだ


しかし包囲する前に……どんどん盗賊達は倒れていく

盗賊は多いけど 早くしないと俺の分がなくなるよ

俺は投石紐を取り出して石を放つ


いくら 人数が多くても包囲に時間がかかれば意味がないよ 

2~3秒で5人くらい倒れていく

包囲に1分以上も時間を掛ければ そりゃ誰もいなくなるよね


子供6人だから油断してたのだろうけど


おっ 洞窟からも ボスかな


洞窟からもぞろぞろと盗賊が出てきたが


包囲している盗賊を既に全滅させてしまったので


洞窟から出てきた盗賊に矢を放ち始める


その時 漆黒の鎧を着た盗賊が叫んだ


「既に包囲した 投降しろ 俺が誰だか分かっているだろ 知らないなら鑑定してみろ」


う~ん 知らないよ 鑑定っと


ルーク 39歳 レベル87


なかなか強そうだ


みんなは話を聞かずに夢中で矢を放っている


顔は真剣な表情というより何だか楽しそうな表情だ


盗賊達は余裕を噛ましていたのか動かなかったので

只のいい的だ


「貴様ら 死にたいらしいな 全員かかれ」


既にボスのみだが


みんなはボスに次々に矢を放っていく


ボスは俺の石も皆の矢も盾でほとんどを防いでいるが

ちゃちゃの矢だけは全て命中しているようだ


ちゃちゃは わざと大きく軌道を外し直前で

大きく修正して命中させている

どこに飛んでくるのか予想することが出来ないのだろう

普段はなるべく魔法を使わないように 真っ直ぐに狙うことが多いいが……

ちゃちゃは攻撃のセンスがいいのかな

相手の強さに合わせて考えながら攻撃をしているのだろう

命中させる場所も鎧等の防具がない足や腕

凄いよね

みんなを見るとまだまだ止める気はないようだ

盾で防ぐのがやっとで 動けない いい的だもんな


「貴様ら 只で済むと思うなよ すぐには死なさん

何をしている早く捕まえろ」


ボスは叫んでいるが もちろん誰も動かない


う~ん 誰も残ってないよ


「止めろ 後悔するぞ 今なら ぐぅわっ」


もちろん 誰も止めない


何だろ みんなを見ると 楽しそうだ


しばらくすると ボスが倒れて 這って洞窟の中へ


しかし途中で止まり動かなくなった


鑑定すると表示されない


ボスのレベルは高かったが100以上の魔法で強化した矢には耐えられなかったようだ

まあ 頑張ったほうかな


ちゃちゃを守りに残し 俺が回収して回る

ちゃちゃの矢は特別なので なるべく回収

っと言っても盗賊に刺さっているので楽だが

まあ ダメになった矢は今までに8本あるが 威力を上げすぎて貫通し遠くまで飛んでいってしまった矢と固い物に当てて粉々になってしまった矢くらいかな



ボスと雑魚が135人

思っていたより多かった

そして 生き残りが3人


アジトの場合を聞くと

目の前の洞窟だそうだ


そりゃそうだよね


盗賊を縛り上げ 案内させる


薄暗い洞窟を進んでいると 次第に明るくなってきた

灯りが至る所についている エン道具か魔道具だろう

今までの盗賊のアジトにもあったが ここのはオシャレだ

洞窟の中は整備されていて綺麗


ここが盗賊のアジトなんて もったいないよなぁ

ダンジョンも近いし 冒険者のための宿泊施設にすれば儲かるかも


豪華な扉を開けると中には奴隷にされた綺麗な女性達が沢山

その中には獣人の女性も


そして亜人の女性もいた


「可愛い亜人の子ね 仲間にするんでしょ」


イネスが確信したように話しかけてきた


まあ 可愛いけどね この子は…… う~ん


「いや この子はギルドに売ろうと思ってるけど」


「え~っ タイプじゃないの 贅沢ね」


「俺の好きなタイプはイネスだからね」


「まったく この子も可愛いのに」


「イネスと出会う前なら そうしたと思うけど

イネスを見ている内に 目が肥えたのかな」


「もう で どうするの」


「とりあえず イネス達は全員を集めて食事だね 俺は残党がいないか 確認 お宝の回収

外に出てた盗賊が戻ってくるかもしれないから注意してね

ちゃちゃ ここは頼むね」


奴隷にされていた女性達が俺に何も言わないので

なぜだろうと思っていたら イネスの回りに集まり話を始めていた

レベルが高いのでイネスがリーダーだと思っているのかな


他の部屋にも 奴隷にされた女性達がいた

いったい何人の女性がいるんだ まったく

レベルの高い女性もいたけど ダンジョンに来た冒険者だったのかな


全ての部屋を確認し 捕まえていた奴隷に確認すると隠し部屋の存在を話し出した


案内させると皆がいるボス部屋だった

棚を動かすと扉があり 中に入ると

おおっ 何か凄そうだな 価値は分からないけどね

まあ 全て回収するので問題ないけど


「ねぇ 皆 私の奴隷にして欲しいって必死なんだけど」


俺が部屋に戻るとイネスが困った顔をして話しかけてきた

「イネスがいいなら問題ないよ 俺の奴隷にするつもりはないからね」


「私も無理よ」


「それなら仕方ないよ ギルドに連れていく

今日はここで休んで明日は朝一で出発するからね

ここからなら 明日の日が暮れる前には森を抜けるってさ」


森を抜けると 王都まで歩いて13日~14日の距離だそうだ

奴隷にされた女性は53人と多い

その内 獣人が3人 亜人が1人

獣人は 犬 虎 兔の獣人 亜人の子はなんだろう

猫耳かな 尖っているので狐耳かな

う~ん 違いが分からないや

明日はクレスとイネスを守りながら 53人の女性を守らなければ……


う~ん 今日はゆっくり寝るか


しかし


うん 無理ですよ


ちゃちゃがすぐに抱きついてきた


そしてキスを


そうだよね ちゃちゃとは森に入ってからは


ずっと 皆を守るために頑張ってくれていた


「ちゃちゃ ありがとう」


俺はちゃちゃを抱きしめて キスを


今夜は


……

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