第36話 セルリの街へ



俺が目を覚ましたのは昼過ぎだった

横ではちゃちゃがまだ寝ていた

いつもは俺より先に起きているのに珍しいよな

やっぱり無理してたのかな

それにしても寝顔が可愛い

猫耳を触っていると 耳がピクリと動き

ちゃちゃは目を擦りながら起き上がる


「ちゃちゃ おはよう」


ちゃちゃはコクりと頷き キスをしてきた

ほんと ちゃちゃは可愛い

このまま もう一眠り

って危ない

イネスが部屋に入ってくるのが見えた


「やっと起きたわね 朝一で出発するって言っていたのは誰よ まったく」


「おはよう イネス」


俺はイネスを引き寄せて抱きしめる そしてキスをした


「もう クレスが食事を用意して待ってるわよ 荷物の整理も全て終わってるから 収納おねがいね」



皆で食事をして クレス達に荷物を全て収納した

俺達は ここから南東にある セルリの街を目指す

パタトの街とセルリの街の間は冒険者が多く通っているので魔物が出ることはほとんどないらしい


クレス達はセルリの街から王都を目指すそうだ パタトの避難民は軍が護衛してくれる パタトの避難民とセルリの街で合流して 軍の護衛付きで王都まで行くので 旅は安全だそうだ


一緒に王都までと考えたが ばにらとちょこのレベル上げ そしてお金を稼ぐ必要があるので諦めた

次のセルリの街で お金は0になるからね

そう また あの人と会うのだ


寝坊して稽古してないから 今日の稽古はジョギングでいいよね

俺がクレス ちゃちゃがイネスをおぶって走ろう


「ばにらとちょこも今日から一緒に稽古だからね 走るから ついてくるように」


2人とも頷いたので 俺達は走ってセルリの街を目指す

セルリの街までは歩いて5日の距離だそうだ

ばにらとちょこがいても3~4日でたどり着けるかな



「クレス達は王都に何しに行くの」


「私達は王都の実家に1度戻ろうって考えてるんだけど」


「王都かぁ 俺達も一緒に行きたいんだけどね ばにらとちょこのレベル上げ そしてお金を稼がないとなぁ」


「えっ 獣人3人捕まえたって話をしてくれたよね」


「そうなんだけどね 次の街でお金が0になるんだよ いや 0じゃなくて 借金がぁ~何億もね」


「億 億って何かしたの」


「何もしてないよ ただね 師匠と会うんだよ」


「怪しい人なら縁を切ったほうがいいんじゃ」


「怪しいのは間違いないけどね あの人なりの優しさだと思うから大丈夫だよ お金が無くても生きていけるように そして 俺がだらけないように わざと お金を全て持っていってる たぶん う~ん だと思うんだけどね」


「へぇ~ 尊敬してるのね」


「まあ 一応 師匠だからね」


俺達は何事もなく順調に進んでいった


ばにらとちょこは遅れることもなく必死でついてくる

レベル1だが身体能力が高いのだろう

休憩をこまめに取りながら走っていく


日が暮れたので今日の移動はここまでにして野宿の準備をした


「凄いわね これが野宿なの」


俺が出した陣幕や大きなテーブルにイス そして大きな2つのテントを見て イネスが驚いていた


「アイテムボックスが大きいからね でも これは2人だけの秘密だよ」


「もう クレスが隣で聞いてるのに 何が2人だけの秘密よ それにちゃちゃちゃん達も知ってるんでしょ」


「おおっと う~ん そうだ 食事が終わったら そっちのテントの中で秘密について ゆっくり話そう」


「まったく」



セルリの街までは安全そうなので 食事の後にちゃちゃに剣の魔法を使ってもらうことにした


「ちゃちゃ 無理だけはしないようにね」


ちゃちゃはコクりと頷き 大きな岩の前まで移動する

そして 剣を横に構えて 岩に向かって横斬り

うわぁっ 何度見ても凄いよなぁ

岩が綺麗に斬れた

やはり ちゃちゃはその場で座り込んでしまった

俺はちゃちゃを抱き抱えて 俺の膝の上に座らせた

アイテムボックスからちゃちゃの魔力の残りを測定するために測定の玉を取り出す


「どれどれ え~と エンを入れてっと あれっ 魔力100% で体力が20%って ええと ちゃちゃ 今のは魔法じないのか」


ちゃちゃは首を傾げた

どういうことだ ちゃちゃも分からないのか

魔法なのに魔力を使わないなんて あるのか

そもそも魔法じゃないのか

どちらにしても80%も体力を消費するなんて危険すぎるよね 理由がわかるまでは……


「ちゃちゃ やっぱり この魔法は 魔法じゃないのかも知れないけど え~と まあ とにかく 使わないようにしようね」


ちゃちゃはコクりと頷き 

俺の方に振り返り抱きついてきた

疲れているだろうから……仕方ない 俺が頑張るか

ちゃちゃを抱っこして俺専用のテントに入ろうと中を見ると

ベットにはイネスが


そうか 約束してたよね


う~ん ちゃちゃは既に……


考えていると


ちゃちゃが俺の首に手を回し そしてキスをしてきた


イネスがベットで待っているのを見てアピールかな


可愛い


どうする


そうか


答えは これだよね


俺はもう1つテントを出しベットを出した


先ずはちゃちゃからだよね

……

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