第26話 結界魔法



昼食を食べてからギルドに向かった 

ギルドに入ると拍手で迎えてくれた


俺は盗賊と保護した奴隷の買取をしてもらい


大金を受け取った


が……


なぜバレた


俺が大金を手にしたことが……





「ちゃちゃ 欲しいものは 何でも買うんだよ」


ちゃちゃはこくりと頷く


「そうだ この先に」


「いらっしゃい おおっ 赤の英雄様ですか」


「えっ 違いますけど 味見いいですか お金は払います」


ギルドで教えてもらった この街で一番美味しいと有名な店に来た 特に唐揚げがとても美味しく 他の街からもわざわざ買いにくるほどだそうだ


「食べてくれ 君が第6の英雄って皆 噂してたぞ」


ウマイ ってまた英雄が増えたのか


「ちゃちゃ 美味しい」


ちゃちゃは笑顔で頷いた


「おじさん 買えるだけ全部ください それと今日中に作って売ることの出来る分も全部お願いします」


「おおっ 気に入ってくれたか 任せろ 今日はこれで店を閉めて 英雄様のために作ろう 宿に届ければいいんだな」


「その英雄じゃないですが お願いします 料金は前払いさせてください」


「んっ 後払いでもいいが」


「前払いしないと全て使ってしまうので」


「そうなのか うちとしては前払いでもいいが 無駄使いはダメだぞ」


俺はお金を払い店を出た とにかくお金を使わなければ 全て失ってしまうかも知れないのだ


「ちゃちゃ あそこに 可愛い服が飾ってるよ」


ちゃちゃは走って服屋に入って服を選び始めた

俺は店員さんにお願いして ちゃちゃに似合いそうな服をどんどん持ってくるようにお願いした

ちゃちゃが気に入ったものは全て買う


雑貨店を回ったり ギルドで教えて貰った この街で美味しいと評判の店を回ったりして とにかく買った


そして 時間になったので あの人を待つ





「師匠 おひさしぶりです」


「ああ 金が出来たようだな 全部出してみろ」


「えっ 俺の借金は1億4千万ちょっとですよね」


「よし 全部貰っておこう」


うっ やっぱりか こうなると思っていたけど


「師匠 あんまりですよ」


「んっ 気にするな それに その子の訓練で悩んでいるんだろ 金を貰ったんだから 相談にのるぞ」


お金をやるとは一言も言ってないけど……この人に何を言っても無駄なんだよな 

せめて お金の分は相談にのってもらわないと

俺はちゃちゃが弱い盗賊複数人相手に苦戦したことを話した どのように戦えばいいのかを聞いた


「何かいい方法が」


「馬鹿だよな お前は 簡単なことだろ 強くなればいい それにお前は自分ならどうするのかを考えて この子に教えているだろ

この子とお前は違うぞ 魔力もあるので魔法だって使える 戦術に魔法を組み込むのは当たり前 なぜ教えない」


「魔力には限りがあるので それよりかは」


「はぁ 使い方の問題だろ え~と ちゃちゃ こい 魔法を教えてやろう この馬鹿に習うよりはいいだろう」


ちゃちゃは戸惑いながら師匠に近づいた


「魔法は知ってるな」


ちゃちゃはこくりと頷く


「氷魔法なら 氷を作り出し そして 飛ばす

しかし これだと氷を作るのに魔力を使い 更に飛ばすのにも魔力を使う これだと魔力の消費量は大きい

それなら 氷をアイテムボックスから取りだし 手で投げればいい

そして魔力は補助に使えばいい

魔力で氷の形を鋭くしたり 投げた氷の速度を上げたり 軌道を変えたりするのに使えば魔力は少なくて済む」


師匠が氷を取りだし ちゃちゃに渡した


「その氷をちゃちゃの魔力で包むイメージで氷を強化しろ

そして 投げる時 手から氷が離れる瞬間に魔法を放つのと同じイメージで氷の速度を上げることが出来る やってみろ 今のレベルなら簡単に出来るはずだ」


ちゃちゃが氷を投げると物凄い速さで飛んでいった


「それでいい 後は氷を包む魔力の調整だな 慣れれば少なくて済む 速度を上げるのも慣れだ 更に速く 魔力は少なくて済む

ちゃんと稽古するんだぞ

それと剣で戦うなら いい魔法がある」


おおっ もしかして 魔法剣かな


師匠は地面の砂を掴み投げた


「出来るか」


ちゃちゃは頷き 素直に真似して砂を投げた


「それでいい 後はさっきと同じだ

魔力で包み 投げるといい

目標は相手の目だ

砂は常にアイテムボックスに大量に入れておけ

慣れれば 一度に相手全員に目潰し出来るぞ」


おおっ 魔法剣じゃないのは残念だけど これは凄いかも 地味だけど


「それに 砂で目潰しなら魔力を使わなくても出来る どんどん練習して魔力を使わなくても出来るようにしろ 魔法は補助に使えばいい

出来るだけ魔力を使わなくてもいい戦い方を覚えろ しかし使うことも出来るようになっておけば戦術が大幅に増える

剣と剣だけの戦いなら どんな達人でも複数相手にするのは難しいからな」


う~ん そうなのかぁ


「お前は魔法が使えないから魔法に見えるように戦い

ちゃちゃは魔法が使えるから 魔法を使ってないように見せて戦えば戦術も増えるだろう」


確かに石を投げたり 砂を投げたりしても魔法に見えないよなぁ 魔力で補助すれば

ありえない速度だったり 軌道を変えたりすることで相手の意表を突くことが出来るのかぁ


「ちゃちゃ 見てろ」


師匠が剣を左手に持ち 右手で砂を放った

3本の木の人の顔くらいの高さに砂が当たる

そして走って岩に近づき剣を横に振り 横斬りで岩を2つに切り裂いた


「これくらい出来るようになれば剣士として一流だ ただし最初はの消費に注意しろよ」


1度に3人に目潰しかぁ 目潰しの凄さに感心した


「ありがとうございます これなら出来そうです」


ちゃちゃもこくりと頷いた


「じゃあ 行くぞ」


んっ 大金払ったんだから……ここは粘らないと


「ちょっと待ってくださいよぉ~ もう少しだけ 何かオマケを」


「贅沢なやつだな」


「だって お金全部渡したんですよ 一言も渡すなんて言ってないのに」


「ケチ臭いことを だったら これをやろう」


俺の横に鉄で出来た大きなドーム型の物が……直径4メートルくらいあるのか 何に使うのか?


「これは」


「見たら分かるだろ 結界魔法だ 今のお前なら持てる重さだろ 間違ってもお前が中に入るなよ これは仲間を守るために使え 戦闘が終わるまでは出られないだろうし もしお前が死ねば出られずに飢え死にしてしまうかもな 地面を掘って出られるように掘る道具くらい持たせていた方がいいかもな」


結界魔法って……う~ん なるほど ちゃんと持ちやすくなっているのか うっ 重いぞ んんっ よし 収納


「何とか持てました」


「よし ちゃんと稽古してるんだな 予備に5つやろう それと それが持てたなら 盾も同じくらいの重さの物が余ってたはず …… あった この盾を50枚つけてやる」


「う~ん もう少し そうだ ちゃちゃにも盾を」


「ダメだ ちゃちゃには ちゃんとした盾を買ってやれ」


んっ 俺のは いい加減に作ったのか


「俺のは そのぉ」


「はぁ お前の装備力は0だから お前のはただの鉄の塊だ

それでも持つのがやっとで装備出来ないのに

ちゃちゃは違うだろ 装備力があるんだから強化した鉄で作った盾を装備出来るだろ 頑丈で軽くした盾が使えるのだからな」


「そうですね まあ師匠が手抜きしてたなんて~思ってませんけどね」


「はぁ~ もういいだろ 行くぞ」


「あっ 最後に この剣を見てもらってもいいですか」


「ランク付きのD級の剣か ダンジョンに入ったのか」


「はい ダンジョンで手に入れたんですが その剣を持つと反発力が凄いので もしかしたら かなりランクの上がる剣じゃないかと思ったんですが」


「んっ 俺には分からないが お前がそう感じたんなら そうだろう まあ比べてみれば分かるだろ」


「比べる?」


「はぁ それくらい 気づけよ まったく

レベル50になって装備出来る鋼の剣と同じくらいの反発力なのか

レベル75になって装備出来るミスリルの剣と同じくらいの反発力なのか 比べてみたか」


「なるほど う~ん 師匠 ミスリルの剣 貸してください」


「はぁ それくらい持っていろよな ほら やるよ」


おおっ 5千万エンもするのに こういう物は簡単にくれるんだよな~


「ありがとうございます う~ん やっぱり このD級の剣のほうが反発力が凄いですね」


「ほう それは凄い それならこの剣もやろう 比べてみろ」


おおっ 1億エンもするプラチナの剣


「え~と あれっ まだ このD級の剣のほうが」


「そうか じゃあS級以上にまでランクを上げられる剣だな ドワーフの腕利きの職人にしか無理だろうが それで ちゃちゃの剣を作って貰え」


おおっ ドワーフって やっぱりいるんだ あれっ 以上?


「S級以上ですか S級より上ってあるんですか」


「そりゃそうだろ お前がくれた宝石はSSSSS級だっただろ S級 SSS級 SSSSS級があるぞ その上は見たことがないから 知らないがな」


あっ 絶対に弟子にしてもらうために 神様から貰った師匠へのおみあげか


「もういいだろ 行くぞ 次は犬の亜人だったな 仲間になったら連絡しろよ それから稽古はサボるなよ ちゃちゃもいいな」


「ありがとうございました」


ちゃちゃもこくりと頷いた


師匠は転移で消えていき


そして 俺のお金も全て消えてしまった

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