第27話 ちゃちゃの稽古



朝一からパタトの街を目指した


お金がないので これ以上泊まれないし


買い物も出来ない


稼がなくては


昨日 ギルドでパタトの街に向かう途中で魔物が出る場所を聞いてみたのだが

パタトの街の北なら獣族の領域なので出るが ここからパタトの街まではほとんど出ないと言われた

何でも 今パタトの街には兵士や冒険者が沢山集まっているらしいと教えてくれた


う~ん 冒険者が沢山集まっているなら魔物が更にいなくなりそうだな

考えても仕方ないか 行ってから考えるか



俺達は街を出て道沿いに進んでいく


昼食を食べて進み出して すぐに 前方の草むらの中に青くて丸いものが


おっ 久しぶりに魔物 スライムだな


「ちゃちゃ これで狙ってみて」


俺は和弓と箙をちゃちゃに渡した

距離は50メートルくらいかな いい的だ

ちゃちゃが矢を放ったが軌道が少しずれている

やはり まだまだだね


「あれっ」


ちゃちゃの矢がスライムに命中した


おっ 外れたと思ったのに 今の軌道で


ちゃちゃは俺の方を見てにっこりと微笑んだ


「凄いぞ ちゃちゃ 上手くなったじゃないか」


俺はちゃちゃの頭を撫でながら褒めた まあ 偶然だろうけどね ついでに耳を触る


ちゃちゃの顔が……可愛い

俺は我慢出来ずに抱きしめてキスをした

続きは夜まで我慢だ


矢を箙に入れて 箙は俺が背負うことにした

アイテムボックスに収納すると時間経過がないので矢が修復されないからだ


スライムが1匹出て以降 特に何事もなく進んだ

パタトの街の方に進んでいるのは俺達だけではなく 冒険者らしき人達が多く向かっている

これでは魔物が出ても俺達の出番はないだろう



次の日の朝の稽古中 筋トレしてから杖を振っていると ちゃちゃが弓で矢を放つポーズをしてきた

弓の稽古がしたいらしい

俺は和弓と箙をちゃちゃに渡した

ちゃちゃが50メートル先の岩を指差した

あれを狙うのか 距離があるから箙に入っている10本の矢では厳しいかな

しかし 1本目の矢で命中 凄い音がして岩が砕けた


「おっ ちゃちゃ 凄いぞ」


ちゃちゃはにっこり微笑んで また50メートルくらい先の別の岩を指差した

う~ん 次はどうかな さすがに2回連続は無理かな

しかし また命中して 凄い音がして岩が砕けた

昨日のスライムを入れると3連続成功だよな ちゃちゃの腕が上がっているのかな

俺が考えていると ちゃちゃはまたにっこり微笑んで 50メートル先の別の岩を指差した

そして矢を放ったが かなりずれた方向に

さすがに3回連続は無理だよな

しかし軌道が変わり命中して大きな音がして岩が砕けた

あれっ もしかして


「ちゃちゃ 今のって魔法を使っていたのか」


ちゃちゃはこくりと頷いた

なるほど それでかぁ 命中率が上がったというより100%だけど

矢でも魔法を使えるのか さっそく応用するなんて ちゃちゃは才能があるのかな

その後 物凄い速度で矢を放ったりしながら10本とも岩に命中した

軌道も変えられるので必中の矢かぁ 速度も上げられて きっと矢も強化して放ってるんだろうな

そうしないと あそこまで岩が砕けることなんてないだろうし

ちゃちゃは矢を回収して箙に入れて 次の稽古を始めた

飛苦無をアイテムボックスから取り出し これも凄い速度で投げて岩を破壊していた

更に走りながら投げたり 利き腕ではない左腕で投げたり 剣を左手に持って 右手で投げたり 色々試していた


稽古を終えて 飲み物を飲んで一息入れていると

ちゃちゃが珍しく何かを考え込んでいる顔をしていた

どうしたんだろう

ちゃちゃを見ていたら目があう

ちゃちゃは立ち上がり剣を振るポーズをした

剣が使いたいのか 稽古は終ったんだが……

俺が鋼の剣を渡すと岩の前まで移動して

剣を構え そして横斬り

それは無理だろって思ったら 岩が斬れた

えっ 今のは……まさか 今のも魔法なのか 魔法で剣を強化したのか……

ちゃちゃがその場に座り込んでしまったので 駆け寄るとにっこり微笑んで剣を返してきた


「ちゃちゃ 大丈夫か」


ちゃちゃはこくりと頷いたが かなり疲れているようだ

魔力の使いすぎなのかな……魔法使いじゃないから 魔力を使いすぎても問題ないはずだけど……

まあ いいか


休憩を終えて 俺はちゃちゃをおぶって進むことにした

ちゃちゃをおぶるのは嫌いじないしね

いや むしろ好きだな


ちゃちゃは昼になっても回復出来なかったので 今日は1日中 俺がおぶって進んだ


夜になるとだいぶ回復したようなので頑張ってもらうことにした

……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る