第13話 逃亡
冒険者達は大混乱していた
前後左右から魔物の群れ
1番強いB級の冒険者ジュールの死亡
そして空からC級の吸血巨大蝙蝠の魔物が無数に……
さすがに罠に嵌められたのだろう
違う種類の魔物が一斉に襲ってくるなんてあり得ない 誰かが何らかの方法で……
俺は周りを注意深く観察してみた すると魔物に紛れて俺達を攻撃している人が……いや あれが獣族なのか……このままでは全滅してしまうだろう
ここにいては……どうする……まずは敵の正体だけでも
よし
俺は魔物を避けながら森の中を全力で走って進んだ
すると 魔物の外側に猫の獣族がいた
どうやったのかは解らないが魔物に俺達を襲わせたようだ そして遠距離から俺達を攻撃している
俺はとにかく走って獣族の包囲網を抜けようとしたが数が多い 後ろは無理……横なら……いや前に進もう
俺は北東の方向に全力で走った 矢が飛んできたが全てかわしながら とにかく全力で走った 獣族は身体能力が高いが 俺の方が上 英雄として作られた体にバーサーカ王の玉で強化している 更に毎日 鍛えている 逃げ足なら誰にも負けない自信がある
よし やはり包囲網は俺達を逃がさないように後ろに 南に多くの獣族を配置してたようだ
獣族の包囲網を抜けた俺は東に進んだ しばらく進んでから南に進むつもりだったが……あれは 前方に見えるあれは……前方に柵が……ここは……
村のようだ
俺は警戒しながら村に近付く 誰かいる 猫族 ここは猫族の村なのか 音を立てずに……おおっ 猫だ
「うわぁ ほんとに 猫の獣人って猫の顔なんだ」
しまった バレないように近付いていたが……間近で見た獣人に興奮してしまった……大きな声で独り言
俺に気付いた猫の獣人が2人 俺に襲いかかってきた 俺は攻撃を軽くかわし朱殷の杖で殴り倒した 村に近付いて見ると年寄りと子供 そして女の獣人 俺を見て怯えている
うーん やっぱり捕まえるのは……これでは単なる人拐いだよね 分かっていたけど……はぁ
俺は村に入り 年老いた獣人に通訳の指輪を付けた
子供や女の獣人は俺から距離を取って警戒しているが この年老いた獣人だけは逃げなかった 倒れている獣人を見捨てられなかったのか……俺から逃げられないと思ったのか……
「すまなかった 俺は何もせずにこの村から去ります 倒れている2人にはこのポーションを飲ませてください すみませんでした」
年老いた獣人がうなずいたので 通訳の指輪を返してもらい 村から立ち去ることにした
俺はまっすぐ南に走って進んだ
う~ん 分かっていたんだけどなぁ~ う~ん
日が暮れたので木の上にハンモックをかけて寝た
朝食を食べてすぐに 南にまっすぐ走った
魔物を見かけても無視してとにかく走った 人の領地に少しでも早くたどり着くために
昼食を食べて走り出そうとした時 後ろから何者かが向かってくる 5人 猫の獣人が5人 手には剣を持っている
俺は投石紐を使って近付いてくる前に石を放った 3人に命中 残りは2人 俺は幻影の炎を2人に放ち それに合わせて岩を投げつけた 炎の幻影で岩が見えなかった獣人はまともに岩が当たり倒れた 俺は倒れている獣人5人を朱殷の杖で殴り そして紐で縛った うーん この5人ならいいかな
俺が不法侵入したとはいえ 俺を襲ってきたのだから同情しなくてもいいだろう うん これが俺のルールだ この世界の常識でも獣族を捕まえるのは悪くないし 自分にいい聞かせる 悪くない
男の獣人でも元気がいいのは1千万以上で売れる 5人で5千万以上かぁ ここからなら夜までには獣族の領地を抜けられるはず
抵抗しようとしたが俺の力は強い 朱殷の杖で抵抗したら叩き無理矢理引っ張って進む
しばらく進んでいると……
可愛い女の子が現れた
人に見えるがあれは猫耳 お目当ての猫の亜人が俺の前に姿を現しゆっくりと近付いてきた
目的の可愛い猫の亜人 茶髪で小柄……まだ幼いのか 高級感のある服を着ているがお金持ちなのか?
武器は持っていない……
何しに来たのか……
少女は俺の前で立ち止まり
右手を左前に伸ばし……
えっ
チョップで俺に攻撃してきた
キラリと光る指先 何かが伸びた 俺は素早く後ろに飛んでかわした 少女を見ると爪が伸びていた どうやら その爪で俺の喉を切り裂くつもりだったようだ 少女は更に突進してくる 俺は軽くかわし少女の服を掴んで転がし そして少女の顔の前に杖を向けた 少女は這って俺が捕まえた獣人のところに行き 1人の獣人に泣きながら抱きついた
父親なのか……家族……
う~ん どうしよう せっかく捕まえたのに
……仕方ないか
さすがに可哀想になってきた いけないことをしている罪悪感も
俺は5人の獣人を縛っていた紐を外し 逃げるようにジェスチャーした 6人とも驚いた顔をしていたが俺に頭を下げて逃げようとした
「ちょっと待った 君はダメ」
俺は一緒に逃げて行こうとした少女を捕まえた
驚いた顔をしているが俺の目的は君だから
5人の獣人も6人で逃げれると思っていたのか戸惑っている 俺は少女を紐で縛り奴隷の首輪と通訳の指輪を付けた
「あれは君の父親なのか」
少女はこくりと頷いた
「彼等は俺を襲って来たから奴隷にするつもりだったけど 可哀想なので逃がすことにしたよ」
少女は俺に頭を下げた
「でもね 君は可愛い 俺の目的は可愛い猫耳の君なんだ」
少女が怯えた顔になった
「君は逃がさないけどね 彼等がまた俺を襲ってくるなら彼等も奴隷にするけど 嫌なら逃げるように言ってくれないかな」
少女は戸惑っていたが……5人の獣人の方を向いて何かを話はじめた
6人は何かを話していたが……この子の父親らしい獣人は叫んでいる 俺に飛びかからないように他の獣人が体を押さえている しばらくして5人は森の奥に走って消えていった
仲間を呼びに行ったのか……諦めたのか……
そんな雰囲気じゃなかった 当然すぐに仲間と共に向かってくるよね うーん
逃げるが勝ちだね
俺は少女に眠り薬を飲ませて少女を抱えて南に走った そして日が沈む前に森を抜けることが出来た
俺なら……マーラの街の方に先回りをするよな~
よし とにかく南に走ろう このまま南に走れば レナバンの街があるはず ゴランダの羅針盤で念のため確認して見ると南を指した
俺は日が暮れるまで南に走り続けた
ついに手に入れた 猫耳の少女を
モラル < 猫耳の少女
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます