第6話 足りない

本文


馬車に揺られ俺はクレールの街を後にした 王都には3日目の夜には着くそうだ 

虎の魔物はB級の魔物だけあって経験値が多く俺のレベルは上がってしまいレベル16と表示されるようになってしまった う~ん F級からE級になってしまったかぁ~ これで俺も中級者 はぁ もう少しF級のままでいるつもりだったのに…… ランクが高いと強制依頼が増えるんだよなぁ ランクはレベルのみで決まっている 無理な依頼を出して冒険者に危険がないようにするためにはレベルを基準にするのが分かりやすいのである リリカに怪我がなかったのだから良しとするか 


虎の魔物討伐をギルドからの特別依頼にしてくれたので俺のギルドプレートは木から銅になった B級の魔物だからギルドポイント50だそうだ 銅になるためには50 銀になるためには500 金になるためには5000だそうだが俺はあまり興味がない ギルドプレートが代わると信用度が上がり 貴族や大商人からの割のいい仕事が受けられ 冒険者を辞めて転職する時にも いい仕事につけるようになるそうだが…… 貴族や大商人に俺の力が知られると面倒なので魔物退治で稼ぐほうが安全だと思う 虎の魔物を倒すと30万エンを落とす ギルドに死体を売れば50万エンにもなる 今回は更に褒賞金として50万も貰えた 贅沢をしないかぎり お金に困ることはないだろうし 俺は貧乏性だし 


それにしても暇だ 馬車は楽でいいのだが…… 俺は暇なので杖を振ったり筋トレしたりして過ごした


予定通り3日目の夕方には王都が見え 夜には着くことが出来た 王都の入都税は3万エン…… ぼったくりかぁ まあ 一度払えばいいのだが……それにしても高い 俺がお金を払おうとしたら 既に商人さんが支払ってくれていた お礼をいい 話を聞くとお金はクレールの街のギルドから預かったそうだ

 おおっ いいことはするもんだね 完全に英雄扱いだったからね 商人さんにお礼をいって門で別れた


それにしても広い どうしよう 日も落ちてるし……今から安い宿を探すのは……やはり 困った時はギルドに聞くのが ってギルドはどこに?キョロキョロと大通りを歩くが…… 完全に田舎者だね 恥ずかしいけど 仕方ないので人にギルドの場所を尋ねた 教えて貰った方に進むとすぐにわかった

 おおっ さすが王都のギルド 大きい 


中に入ると受付カウンターが5つもある 迷わずに綺麗な女性の受付に並んだ

鑑定して見ると

名前 エイレナ 28歳 レベル1

髪が長く綺麗 仕事もバリバリ出来そうだ 美人を見ていると退屈しないよね


「どうされましたか」


おっ 俺の順番か 美人を見ていると時間なんてあっという間だね


「綺麗なので見とれていました 王都は初めてで 安い宿を教えて欲しいのと どんな依頼があるのか教えて欲しい 一番知りたいのは綺麗な君のことだけどね」


「まあ 若いのに お世辞が上手ですね 今日は遅いので宿の話からにしましょう え~とですね ここが安くていいかな 9000エンで食事付きですよ」


エイレナは一枚の地図を取りだし 説明してくれた


「ありがとうございます 宿はそこに行ってみます それと この近くの魔物がいる場所とか依頼とかはどんな感じですか」


「それでしたら 依頼はあちらの壁に貼っています 魔物がいる森等は王都から遠いいですね」


「そうですか 壁の依頼を見てみますね」


「魔物退治や盗賊退治は少ないですよ 王都近くなら すぐに国の兵士達が動きます 魔物退治や盗賊退治をする拠点にはむきませんよ」


「そうですか せっかく王都に来たので 明日は王都見学にします」


「それがいいと思いますよ 魔物退治でしたら 北北西のゴランの街がオススメですよ 大きな森があるので魔物討伐依頼は常にあるみたいですよ」


「ありがとうございました」


俺がお辞儀をして立ち去ろうとすると エイレナに引き止められた なんだろう 俺に惚れたのかって思ったが どうやら 子供の冒険者の俺を心配してくれているようだ 1人ならギルドの簡易宿泊部屋に泊まってもいいと言ってくれた


「でも お姉さんも一緒ですよね 声が他の人に」


「えっ 何を言ってるのよ まったく」


「え~と」


「私の部屋は別です」


「えっ 一緒じゃ 一緒がいいです」


「大人しく 1人で寝なさい」


「起きて待ってるね」






朝 日課の稽古をし エイレナと朝食を一緒に食べてから 俺はエイレナの部屋を後にした


今日は念願の奴隷市場に行ってみよう 猫耳の仲間がついに 道を聞きながら ウキウキとした足取りで奴隷市場に向かった


着いたのだが……出入りしているのは貴族等の金持ちばかり 中に入ろうと近付くと 入場料が5万エンって書いてあった たかっ お金はあるけど……高すぎる そもそも奴隷の相場っていくらなんだろう……壁の貼り紙を見ていると相場の貼り紙が……亜人女 5億~ ってダメじゃん それに奴隷を冒険者に登録するには買った時の金額と同じだけの税金を払う必要があるのだ つまり最低でも10億~って 無理 無理すぎ せっかく王都まで来たのに こんなに高いなんて……俺の猫耳が……

100万エンくらいだと思ってたのに……手持ちが148万エンあるので 買えると思っていたのに

はぁ~ どうしよう

俺が落ち込んでいると商人のおじさんが話しかけてきた 一緒なら中に入れるよって言ってくれて 俺の手を引いて中へ……まさか 魅力値が高いから女性だけでなく……男性も? 気をつけないと危険ってことか……手を振りほどいて少し距離を取った

商人のおじさんは気にせずに どんな奴隷が欲しいのかを聞いてきた もちろん俺は迷わずに 可愛い猫耳の女の子と答えた すると商人のおじさんは奴隷について詳しく説明してくれた 亜人は人気でとても高いそうだ 亜人は獣人と比べてとても希少だと 可愛い亜人なら その値段は計り知れないと……ダメじゃん 完全に 俺の夢が希望が……

可愛くない亜人なら意味ないし それなら人の可愛い奴隷のほうが……いや 人の奴隷には抵抗があるけど……商人のおじさんの案内で2人の猫の亜人を見ることが出来た 好みではなかったが……それでも7億~って 税金を含めるとあのレベルでも14億~ 可愛い亜人なら……無理すぎ

商人のおじさんに安く手に入れる方法がないのか聞いてみると 自分で捕まえると無料なんだけどねって笑いながら教えてくれた

笑っていたので 何かおかしなことでも?と聞くと

商人のおじさんは丁寧に教えてくれた

獣族狩りはとても危険で参加した全員が死ぬことも 逆に捕まって奴隷にされることもある危険な仕事だと 獣族は北の大地に住んでいて 奴隷狩りをする時は集団で獣族の領地に入って捕まえるそうだ 高く売れる人気の獣族は やはり亜人の女 亜人とは見た目が人で耳と尻尾が獣の獣族のこと 亜人以外の獣族を獣人と呼ぶそうだ

獣族狩りはいつも行われているので北の国境付近の街のギルドに行けば誰でも参加出来るそうだ 俺が真剣に話を聞いていたら 商人のおじさんは困った顔をして注意してきた 子供でも獣族狩りには参加出来るがやめたほうがいいと 獣族は人より身体的能力が優れていて魔法が苦手だと言われているが使える者も多いそうだ 捕まえれば自分の物になるので一攫千金のチャンスを求めていろんな人が参加するそうだが……とにかく危険だと

俺は話を続けて 捕まえた後はどうすればいいのかを聞いた

ギルドに売ってもいいし ギルドで捕まえた獣族を登録すれば自分の物に 冒険者としても登録出来るそうだ 獣族狩りに行くなら奴隷の首輪 通訳の指輪 眠り薬等を購入する必要があり アイテムの説明についてはギルドで講習があるそうだ

俺は詳しく教えてくれた商人のおじさんにお礼を言って奴隷市場を後にした


よし 北の街にとりあえず 行ってみるか


冒険といったら1人ではなく仲間とするもんだよなぁ 楽しさも苦しみや試練を仲間と協力して乗り越える 俺が転生者だとは世間に知られたくはないから秘密を守れる仲間が 奴隷なら奴隷の首輪の力で秘密を守らせることが出来るけど人の奴隷には抵抗が……やはり亜人奴隷を仲間にするしかないのだ


商人のおじさんの話では ここから5日の距離にあるゴランの街 そこから15日進んだらレナバンの街 そこから更に6日進んだ国境付近のラーマの街 最低でも26日かかる まあ 俺には目的が特にないので仲間を手に入れるためなら それくらい問題ないだろう せっかくの異世界 猫耳は譲れない



夜まで王都を見学して 今日はエイレナから教えてもらった宿に泊まることにした……が 受付を確認すると男性……客も貧乏そうな男の冒険者ばかり……子供が1人で泊まるのは危険だよね 仕方ない 仲間が出来なくて寂しいし 自分に言い訳をしながら宿を離れた



今日の夜もエイレナの部屋で寝ることになった

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