第4話 狼の森



俺はデーカの街をあとにした

王都に向かうために まずは ここから北にあるカウナの街に向かう


デーカから北に真っ直ぐに進むと狼の魔物が住む森を通ることになる レイラの話では大狼の魔物も目撃されていて危険だということだ 安全な迂回ルートもあるが俺は森を真っ直ぐに進むことにした 理由は単純に狼や大狼の魔物はお金になるからね 狼は群で生活しているので沢山いてお得なのだ


森の中をずっと進んでいるがスライムやオークしか出くわさない 狼を期待しているのに雑魚ばかりだ 


んっ 人がいるのか?


前方に何人かの人影が見える……寝転んでいる人も……怪我のようだ 怪我をしている女性……綺麗な女性が倒れている 脇に大量の血がついていて かなり重傷のようだが……こんな綺麗な女性が俺の仲間になってくれたら……いやいや 大丈夫なのか 致命傷ではないみたいだけど……


「大丈夫ですか」


俺が声をかけるとリーダーらしき人が俺の側に来て


「大狼に襲われてな ポーションもダンジョンで使い果たしてしまった 今 仲間がカウナの街まで買いに行っているんだ 君はこんな場所に1人なのか?君か君の仲間でポーションを持っている人はいないか」


ダンジョン?いやいや今は


「すみません 俺もポーションを持っていません 俺は1人です」


「そうか」


「俺もこのまま北に進んでカウナの街に向かいますが一緒にどうですか」


俺がずっとお姫様抱っこしてもいい させて欲しい


「北にいるんだよ 奴等が 狼の群が それも大狼が群のリーダーだ」


狼くらい……


「しかし その女性の人の手当てを早くしないと」


「そうは言ってもな 大狼に襲われれば被害者が増えるだけだ 仲間を信じて待つしかない 3日もするば必ず来てくれる」


綺麗な女性の命がかかってるのに……


「本当に3日ももつんですか ここから北に向かえば1日もかからないのに」


「そんなことわかっているんだ 仕方ないんだ リーダーは俺だ 俺達はここで待つ」


駄目だ 俺がポーションを取りに行ったほうが早い


「そうですか では 俺はこれで」


「んっ どこに 1人で北に行くつもりなのか 俺の話 聞いていなかったのか」


「えっ 大丈夫ですよ これでも強いので では」


俺は呆れ顔の彼らと別れて北に向かった


しばらく進むと複数の狼を発見した ようやくお金になる魔物が出て来てくれたよ 群れの中には大狼の魔物もいる こちらには気付いていないようだ ふっふっふ 俺は目も優れているのだよ まずは俺からのターンだ かなり距離があるので俺は投石紐を使って 大狼に狙って石を放つ

よし 命中だ

石が命中した大狼の魔物はその場で倒れて首を動かし周りを警戒している 他の狼の魔物もまだ俺には気付いていない 俺のターンは続く 俺は投石紐を使って狼の魔物に次々に石を放つ 俺の攻撃は全て命中していき 6匹目の狼の魔物を倒した時 ようやく他の狼が俺に気付いて向かってきた 君達のターンはまだなのだよ 俺はアイテムボックスから岩を取り出して向かってくる狼に手で投げつけ倒していく 狼の魔物ぐらいなら素手で投げても1撃で倒せる

残りは大狼の魔物のみか 真っ直ぐ向かってくる大狼に大きな岩を投げつけ 大狼の魔物がかわした隙をついて石を投げつけると悲鳴を上げながら倒れ お金が出てきた 大狼でも2撃で倒せるようだ 大狼1匹 狼20匹の死体をアイテムボックスに回収して 北に進んだ これでしばらくお金に困らないかな 出来たら あと2群れくらい出て来て欲しいけど……



進んでいると1組のパーティーと遭遇


「小僧 こんなところに1人なのか 俺達はダンジョンから出て街に帰るところだ よかったら一緒にどうだ」


あっ そうだ 街に行かなくても……


「ありがとうございます 俺は大丈夫なんですが すみませんが回復魔法を使える人かポーションを持っている人はいませんか」


「怪我でもしているのか エネが回復魔法を使えるぞ ポーションもあるが まあポーションはただではあげられんがな」


おおっ 


「本当ですか もし可能なら助けてくれませんか ここより南に怪我をして動けない女性がいました 仲間もいましたが回復出来ないそうです」


「南か 狼が住み着いてしまっているからな」


「それなら 大丈夫ですよ 討伐されていて いなかったです 俺も今通ってきました」


「そういえば 小僧は南から……リーダーの名前は覚えているか」


「いえ すみません 怪我をしている女性は綺麗な人でしたが」


「よし わかった ここはダンジョンに近い 他のパーティーにも声をかけて探しにいってやるよ」


「よろしくお願いします たしか仲間が3日後に街からポーションを届けてくれるって言ってました」


リーダーはすぐに行動を開始してくれた 俺はお礼を言って その場を離れた

ついて行ってもよかったが狼のことや1人で森にいることを聞かれるのが面倒だし ついて行ってもやることがないだろう


森を抜けるまでにオーク3匹 狼2匹を倒したが ダンジョン目当てで冒険者が多いせいのか魔物とほとんど遭遇出来なかったよ 


森を抜けて2時間くらいで街が見えてきた 街の名前はカウナ 入街税を払って中に入る 日も暮れているので すぐに宿を探すことにした 3つの宿があったので とりあえず3軒とも覗いてみようと思っていたら 2軒目の宿に心引かれたので中に入った


もちろん 受付の子が可愛い女の子だったからだ


「何名様ですか」


「君と2人で」


「1名様ですね」


軽く流されてしまったよ う~ ハズイ

お金を払い部屋に入る 夕食付きだったので すぐに食堂に行くと受付をしていた子が運んできてくれた 遅い時間なので俺が最後の客のようだ


受付の子の名前はニャム15歳 この街の近くの村に住んでいるそうだ 彼女の今日の仕事は終わりで俺の部屋で話をすることになった 俺の魅力値を上げてくれた神様に感謝だ




朝 目を覚ますとニャムはまだ寝ていたが俺は日課の稽古を始めた 稽古を終えてニャムと一緒に朝食を食べて宿を後にした


ギルドに行き魔物の売却をする 俺が大狼を出すと驚いていたが頼まれたと言うとすぐに納得してくれた 誰も11歳でレベル13の俺が倒せるとは思っていないようだ

大狼はDランクの魔物なので レベル30以上の6人で戦う魔物なのだ


食料は師匠に沢山貰っていたが 少し買い足して街を後にした 次のクレールの街に向けて旅をする


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