第3話

 この通りは交通量が多い。四車線の広い通りを次から次へと右から左へ左から右へ車が流れていく。単調な一定のリズムを生み出すそれを眺めていると、まるではじめから動いていなかったような錯覚を覚える。同じ繰り返しは不必要なものとして処理され、上書きされてしまうからかもしれない。つまらない一日はやたら長く感じられるが、思い出せるのはごくわずかな情報。そんな感じ。





 ノイズにまみれた喧しい街。ぼくはここに来て二年目だが、はっきり言って好きではなかった。数少ない友人たちは便利なこの街にすぐに溶け込んでいったが、ぼくは馴染む気など更々なかった。



 この都市は中途半端な優しさで満ちている。



 他人のことなんかどうだっていいくせに、話題のためにあれだこれだと引っかき回す。やっと見つけた話題でも、どこか冷めてしまっているのだ。ちょうど温かい料理が冷たくなって目の前に出されたのに似ている。そんな優しさはぼくにとって迷惑だし、誰かを傷つけることになると思う。親切とお節介は紙一重だなんて言葉があったけど、言い得て妙ではないか。

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