第2話
無彩色の街はただでさえ冷たく感じるというのに、灰色にくすんだ空や降り続ける雨でさらに体感温度は低下した。白のウィンドブレーカーが体温の逃げ場を奪い幾分かは暖かかった。
雨を好んで歩く人が少ないのか、知っている人間も見知らぬ他人もたいして見掛けない。商店街の入り口である十字路に到着するまでに出逢ったのはほっそりとした白猫一匹だけで、そいつもちらりと顔を覗かせただけで素早く走り去ってしまった。
真新しいものなど何もない。見慣れた風景が濡れているだけだ。
暇つぶしの散歩と割り切り歩くぶんにはなんてことはない。妙な期待を持って生活をするからがっかりするのだ。端からそんなことを考えなければ、歩きたいという欲を満足させるだけならばこれで充分だ。
ぼくはいつもどおりに信号待ちをした。
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