第70話 恋愛ゲーム時空の中で
俺、
朝起きたら、犬耳が生えていてピンク髪でおっぱいが大きいセーラー服
眼鏡っ娘な幼馴染のアイリーンにマウントポジション取られてる。
上の階では兄貴の進太郎も四人の恋人達に朝から迫られてる
みたい、赤星家は近所でも有名なギャルゲー主人公一家さ♪
「お、おはようアイリーン♪ 起きるからどいてくれる?」
「うん♪ おはようたつみちゃん♪」
退いてくれと言う龍海の言葉を無視するアイリーン。
「アイリーンの作ってくれる朝ごはんが食べたいな♪」
「わかった、急いで支度するね♪」
アイリーンは龍海の部屋を出て行った、アイリーンは変な所が素直だった。
龍海は急いで着替えて食卓へと向かう、進太郎は部屋から出てこない。
キッチンのある部屋ではアイリーンがご飯とみそ汁と目玉焼きと言う朝食を
用意して龍海を待っていた。
「お待たせ♪ しっかり食べて学校行こうね♪」
「ああ、いただきます♪」
二人で仲良く朝食を取る。
「あれ? アイリーンは家の事とか大丈夫?」
「も~! 忘れちゃったの? 私はたつみちゃんのお嫁さんになるからって
子供の頃からここに預けられて一緒に暮らしてるでしょ♪」
「そう言えばそうだったね、アイリーンは俺のお嫁さん♪」
他愛のない会話をしていた龍海とアイリーンに頭痛が走る。
「……う、一体何が起きたんでしょうか? 龍海さんと私が幼馴染のラブラブカップルって設定ですか?」
「……ああ、はちゃめちゃなギャルゲーの世界に俺達は連れて来られたっぽいな」
自分達が何者であったかを思い出す龍海とアイリーン。
「お義父様達も正気を取り戻しているのでしょうか?」
「正気を取り戻しても、母さん達はこれ幸いと楽しんでる気がする」
「私達もしばらく楽しみませんか?」
「そうだね、しばらくは楽しもうか♪」
龍海はピンチを楽しく乗り越えようと前向きに動く決意をした。
「フランママ、え~っとここの設定では文学少女のフランお姉ちゃん?」
「アンニュイな表情で理系な、フランママが文学少女!」
取り込んだ家族の設定を聞いてみて吹く龍海。
実像とのギャップが激しすぎる割り振りは笑うしかなかった。
「アニーママが体育会系幼馴染で、メイママがクラス委員」
「その辺はわからんでもないが、眼鏡かけてれれば真面目は安直」
敵の世界設定にダメ出しする龍海。
「しかし俺にとってきつかったのは、母さんを従姉妹の財閥のお嬢様で学園お理事長のリーファ姉さんと言うのは無理が有り過ぎな設定だぜ」
実の母が父親を相手に学園物のギャルゲーヒロインをしている姿を見させられたのが龍海が受けた一番のダメージだった。
「お義母様、財閥のご令嬢で学園の理事長なのは間違っていないのですが取り込んだ人物と現代世界風の世界観の整合性を取ろうとして却って属性や設定が積み過ぎなのが残念ですね」
アイリーンも酷評する。
一方、財団U のアジトでは黒髪オールバックに白衣と研究者風の小太りな中年男
であるチーフが額に青筋を立てていた。
「こ、こいつら! 人が試しに作った特殊空間を楽しんでやがる!」
ついにチーフが切れた、普段は気だるそな冷静さを持つチーフもヘルグリム帝国の
面々の自由な行動ぶりにたまりにたまったストレスが爆発した!
「……う、うべ!」
チーフの胃がストレスで異常をきたす、彼の私室なのでチーフ以外に人がいないのが彼にとって幸いだった。
「私から娘を奪い、戦隊を潰しと仕事の邪魔をしておいて自分達は青春ごっこ?
ふざけるな! こっちは予算が打ち切られて残業やらで碌に休めていないってのに!」
モニタリングしていたパソコンを睨み叫ぶチーフ。
全ては己が招いた因果だと気づきも反省もしなかった。
「もうこうなったら職場も何もかも知った事か! こいつらを殺してやる!」
自棄を起こしたチーフは息を切らせながら遅い足取りで私室を飛び出して走る。
目指す先は用途不明な機械に囲まれたラボ、自動ドアを通り抜けてチーフは
ラボの中央にある歯医者の治療台に似たシートへ背中から倒れこむようにして座る。
「あの世界では私が神、私がボス! ゲームオーバーにしてやる!」
チーフが座って意気込むと同時に彼の目の前の虚空にデジタルスクリーンが浮き上がる。
彼は自身の手だけでなく天井から出て来たマニピュレーターも駆使して画面の表示を追いながらデジタルスクリーンを操作する。
「遊びの時間は終わり、ラスボスお出ましですよ転送!」
チーフが叫ぶとスクリーンが発光し彼を包み込む。
そしてチーフは、現実世界からその身を消した。
どのような原理かは全く不明ながら、彼は己の肉体ごとゲームの世界に
異世界転移をした。
自分が作り上げた現代日本風の異世界に転移したチーフ。
「まさか自分が小説投稿サイトの主人公みたいな事をしたとは感慨深いですが
感慨に浸るのは憎たらしいヘルグリム帝国の奴らを殺してからです!」
チーフは虚空にステータス画面を開くと自分のステータスを操作して外見を
本来の自分とは似ても似つかないアニメの主人公と言う風体の美少年へと変えた。
「……ふむ、体が軽くなりましたねチート主人公の気分は最高です」
この世界では自分は何でもできる、そんな万能感に彼は浸っていた。
「恋愛ゲームは終わり、今度はロボット戦争ゲームですロボで戦うのは私だけ♪」
ステータス画面を呼び出しジャンル変更を戦略シミュレーションに変更。
「さて、もうチーフでもありませんしこれからはゲームメーカーと名乗りますか♪
私だけが楽しむゲームの始まりです」
平和な日本といった周囲の景色が、ゲームメーカーの言葉が終わると共に
荒廃した市街地へと変わる。
「さあ、第二ラウンドの始まりです♪」
軍隊の駐屯地のような場所に立ち、迷彩柄の軍服姿になったゲームメーカーがほくそ笑む。
駐屯地には、彼がかつて作ったムクロに似た迷彩色の四角張った十メートルサイズの人型ロボット兵器の群れが鎮座していた。
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