第69話 ときめくぜ! メモリアル

 「あ~♪ 夏の浜辺、最高~♪」

 龍海は白い半袖シャツに黒い長ズボンと言う夏服姿で堤防に寝そべる。

 「潮風が気持ち良いですね龍海さん♪」

 ピンクの襟のセーラー服とこちらも夏服姿のアイリーンが龍海の隣で寝そべる。


 日本に戻ってからの二人はこうして毎日制服姿で朝から昼まで補習を受けては

午後は浜辺や堤防の上でのんびり海を眺めたりするという青春を過ごしていた。

 「お義母様達も制服姿で学校におられましたね♪」

 「夏休みでほとんどの生徒がいないからと言って、三十代になった両親達が学校内で制服デートしてる姿を想像したくなかったよ」

 何の企画物だと思った龍海であった。

 

 龍海達がヒマラヤに行っている間、父である進太郎が学生服姿の母や他の妻達と

イチャコラしていたのを知り頭を痛めてドン引きした。

 「私達もしましょうね♪」

 「待って、三十代になったアイリーンの学制服姿は……駄目だ、余裕で行ける♪」

 三十代になったアイリーンの制服姿を妄想した龍海は、それが十分すぎるほどに己の欲望を刺激すると気づいてしまい嬉しいと同時に落ち込んだ。

 龍海の性癖に何かが加わった。

 「あらあら♪ 龍海さんの愛を感じます♪」

 「いや、感じ取らないでくれよ恥ずかしいから!」

 「私達一生ラブラブでいましょうね、龍海さん♪」

 「……それに関しては同意するけどさあ、良いのか俺が変態で?」

 二人同時に起き上がりアイリーンの肩を抱き寄せる龍海。

 「良いんですよ、龍海さんを私で染めて上げますから♪」

 龍海をひそかに自分の良いように開発しているアイリーンであった。


 「しかし、財団Uって言う敵はわかったけれどどうやって戦おうか?」

 これまでの影にいた財団Uについて思う龍海。

 「駄目ですよ、休みの時はしっかり休まないと米軍さんみたいに♪」

 アイリーンが龍海の頬をつねる、デート中に他の事を考えてはいけないのは

ヘルグリム帝国の法律で決まっているのでアイリーンの行為は簡易の刑罰だった。

 「痛ててて、止めろってわかったから」

 降参する龍海、じゃれていてもニュータントのパワーなのでヤバい位に痛い。

 「準備はコツコツと進められているそうなので、今は夏休みを満喫しましょう♪」

 龍海の膝の上に横になるアイリーン。

 

 見つめ合う目と目、可愛さの中に艶めかしさが漂うアイリーンの表情に龍海の胸がときめく。


 龍海がときめいている時、アイリーンもまたときめいていた。

 「こんな風に龍海さんと過ごせるのって、奇跡ですよね」

 突然、アイリーンが湿っぽい事を言い出す。

 「い、いきなりなんだよ変なフラグを立てるな!」

 突然の言動に慌てる龍海。


 「いえ、私の素性を考えると人生のボタンの掛け間違えがあったらとんでもない事になっていたかもと思い浮かんだので」

 神妙な面持ちをするアイリーン。

 「それを考えるとそうだよな、こうしてアイリーンとイチャイチャできるのって

幸せなことだし♪」

 龍海はアイリーンを愛しげに見つめる、アイリーンはその視線を受けて目を閉じて

腕を伸ばし唇をアヒルの如くすぼめてキスをせがんだ。

 「たつみしゃ~~~ん、チュ~~~~っ♪」

 アイリーンを抱き起し口づけを交わす龍海。

 

 アニメならピンクのハートが爆散する光景を繰り広げる二人。

 「たつみしゃ~~~ん♪ だいしゅきれす~~~♪」

 ディープなキスをしてから愛を叫び再び龍海にキスをするアイリーン。

 

 龍海の又従姉妹達に龍海を奪われて、お預け状態だったアイリーンの自重は

終わった。

 「我慢は終わりです、私は甘えん坊になりまちゅ♪」

 理性と羞恥心を捨てて幼児化するアイリーン。


 「アニーママみたいな喋り方になってるよ?}

 アイリーンの喋り方が異母の一人と重なる龍海。


 「アニーママも育ての親だから問題ないでちゅ♪」

 開き直るアイリーン、これはもう好きになせるしかないと龍海は諦めた。

 

 「たつみしゃん、だいしゅき~~♪」

 語彙を捨てて甘えるアイリーン。


 「俺も好きだけど暴れるなよ、堤防から落ちる」

 「私はたつみしゃんに~♪ もうずっと、ふぉーりんらぶでしゅ~~♪」

 アイリーンはブレーキの壊れた恋愛ダンプカーになった。


 龍海にお姫様抱っこされた状態から、むちゅむちゅとキスをするアイリーン。

 アイリーンから漂う甘い香りに、龍海もだんだんと理性が緩んできた。

 「じゃ、このまま家に帰って家で思い切りいちゃいちゃしよう♪」

 龍海もアイリーンから漂う色気に当てられる。


 「ふわ~~~~い♪ たつみしゃん、だいしゅき~~っ♪」

 龍海はアイリーンをお姫様抱っこしたまま、猛ダッシュで帰宅した。


 「あれ? 父さん達はどうしたんだろう?」

 龍海が弟妹達の乳母役をしてくれている人狼のメイドに尋ねる。

 「……その、申し上げにくいのですが陛下達は護身所からお出にならなくて」

 メイドが答えにくそうに答える。

 「あ~、夫婦の営みに励んでるんだと思うので取り敢えず赤ちゃん達のお世話を

お願いしますね父さん達は放置しておいても良いです」

 と、メイドさんに指示を出す。


 「うふふ~♪ お義父様達もらぶらぶでしゅね~♪」

 アイリーンは紫色の狼の耳と尻尾を生やして尻尾を振り振り揺らしていた。

 「ああ、いつも以上にそうなのかもしれないけれど何があったんだろう?」

 父親が何か巻き込まれているのでは? と龍海は思った。

 だが、その予想が当たっていたとしてもどう解決すればいいのかが皆目見当がつかなかった。


 「たつみしゃん♪ 私達もらぶらぶしましょう~♪ 私のご主人様~♪」

 龍海が何か事件かと考えている中、アイリーンは絶賛色ボケ状態だった。

 「ヤバいと思うけれど、まずは明日になってから考えるか」

 龍海はウルフアイリーンをお姫様抱っこして、自室へとしけこんだのであった。


 後に恋愛ゲーム空間取り込み事件と言う名で記される、財団Uが精神攻撃として仕掛けたハニートラップ装置の実験に龍海達は巻き込まれたのであった。


 

 

 

 


 



 




 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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