龍帝団円編
第63話 夏休みの前に
「メアリちゃん、すくすく育っているみたいですね♪」
屋敷の居間で手紙を読んでいるアイリーンが微笑みながら呟く。
元財団Uのヴィランコピーキャットことメアリは、ヘルグリム帝国に引き取られて
魔界で養育されていた。
彼女の成長報告の手紙が来ているのでそれをアイリーンが読んでいたのである。
「そうか、夏休みになったらあっちに会いに行こう」
龍海がそう答える、預けた場所は異母の一人アニーの実家。
「そうですね、その為にも試験勉強を頑張りましょう」
「わかってる、出席日数もギリギリだしな」
ヒーローとはいえ学生、学業もおろそかにはできない。
彼らが通う力華学園では、授業を動画撮影して復習できるシステムを取っており
公式サイトで授業動画を見れるので龍海達は自宅で動画を見ながらノートを取って
問題を解いていた。
「台湾のひいお祖父ちゃんのお陰だぜ、また出資してくれたみたいだし」
龍海の曽祖父は台湾で龍人のニュータント達を纏め上げてヒーロー事業など様々な
商売に手を伸ばす組織、
力華学園は百華龍グループから定期的に出資を受けていた。
「お金の儲かり具合が、日本とあちらでは段違いみたいですからね」
「ヒーロー事業で大陸の方に出張ったりして稼いでる他にもいろいろ事業に手出ししているみたいだしね、その縁でウイグルの事件もこっちに入って来たし重要な海外とのコネの一つだよひいお祖父ちゃんの所は」
「向こうにもまた遊びに行かないとですね♪」
「玄孫の顔はまだか? とかせっつかれるのは勘弁してほしい」
「気さくで明るいノリの方なんですけどね」
「悪ノリの勢いも良いから困るんだ、老人とは思えない元気で強いし」
龍海が曽祖父の事を思い浮かべる、アロハシャツに短パンが似合うイケメン老人。
父の結婚の祝いに巨大な親戚達と一緒に黄色い龍の姿に変身して空を舞うとか
ファンキーでノリが良い性格で好人物なのだが、玄孫の小遣いの為の口座を用意する都合があるから早く子供を作れなど言ったりとおかしい方向に子孫思いな曽祖父に感謝しつつも食傷気味な龍海だった。
「お義父様も今の龍海さん位の年には子持ちでしたしね」
「父さん達が付き合った時から俺の預金口座作っていたって。ひいお祖父ちゃんどんだけ稼いでるんだよ」
「気前が良すぎるほどじゃんじゃん生前分与されてますからね、それと私達の子供に関してはここは自然の流れに任せるのが一番かと思うのですが♪」
「その自然な流れで生まれた身としては、もう少し考えたい所だよ正直に言えば欲しいに決まっている子供は愛の結晶で未来への希望だし」
「龍海さん、自分を許すというのも大事だと思います私達には協力していただける
家族の皆がいるんですから♪」
アイリーンがキラキラと輝く笑顔を龍海に見せる。
アイリーンも龍海が自分の笑顔に弱い事を熟知して来ていた。
「いや、魅力的な笑顔だけど駄目だ! やはりまだ早い!」
アイリーンの笑顔の誘惑に耐えた龍海。
「む~! 龍海さんはもっと欲望に正直になりましょう!」
「もっと二人でデートしたりとかしたい欲の方が強いんだよ」
「そうですか、それならば良しとしますけど覚悟していてくださいね」
龍海の返しにしぶしぶ従うアイリーン。
そんなことを言い合いつつも真面目に勉強に戻る二人であった。
彼らは知らなかった、夏に大きな戦いが二人を待っている事を。
一方、財団Uでは新たな計画を進めていた。
暗い会議室の中、青く輝くデジタルスクリーンから声が流れる。
「次のN兵器の実験計画についてだが、ヒマラヤ山脈を根城にしていると言う組織ブラックカルマを相手に性能テストすると?」
「ええ、テストには都合が良い相手です潰しても何の問題もない」
スクリーンからの声にこたえるのはチーフ。
「アジア圏には厄介なニュータント達も潜んでいると聞くが百華龍も動くぞ?」
スクリーンから不安そうな声がする。
「百華龍ですか、となると姻戚のヘルグリム帝国も動くでしょうね? まあ、データが取れれば問題ありませんよ♪」
スクリーンの向こうで心配する声に笑って答えるチーフ。
「さて、ムクロは良い機体でしたが目立ち過ぎましたね次はパワードスーツで行きますか♪」
デジタルスクリーンが消えて会議室に明かりが灯ると、チーフはタブレットを開いて画像を表示する。
そこに映っているのは、赤青黄緑桃の戦隊カラーをした二mほどの大きさの五体のマッシブな強化外骨格達。
赤は指揮官型、青は狙撃型、黄色は白兵型、緑は偵察兵型、桃色は衛生兵型と兵科ごとに役割分担をされて設計されていた。
「ヒーローを模した外見は好きではありませんがヒーローと誤認させて社会を混乱させるのには役に立ちますね」
悪の実験戦隊が悪に挑む、強化外骨格の中身は人造ニュータントだ。
「コードネームは、ユーレンジャーとでも名付けますかねくっくっく♪」
チーフは偽ヒーロー達の名前を考えて笑う。
夏の雪山を舞台に、ブラックカルマと財団Uとヒーローの三つ巴の戦いが始まろうとしていた。
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