第60話 対決前でも変わらない二人
財団Uが人型ロボットのムクロを制作している時、龍海達は普通に自宅の居間で寛いでいた。
異母兄弟達はそれぞれ出かけている、母達は魔界で産休だ。
龍海の父、進太郎は龍海の母を含めた四人の妻達との間に四人目の子供をもうけていた恐るべきメイドの日であった。
「父さんはヒーロー業界で子沢山皇帝とかエロゲー主人公呼ばわりされても仕方ないな、誰だってそう言う」
後に自分へと返って来るブーメランな事を言う龍海。
そんな龍海は青いアロハシャツにジーンズとラフな格好でソファで寛ぎながら考え事をしていた。
「一体何者なんだ、あの仮定ヴィラン?」
コピーキャットの事が気になる龍海。
ヘルグリム帝国は、コピーキャットと財団Uについて全く手掛かりを得られていなかった。
「いつぞやの白衣の連中もまだ謎のまんまだしな」
白衣の集団とコピーキャットが繋がっている事にも辿り着けていない状況だった。
これに関しては財団Uの隠蔽能力が高い為である。
考え事をしている龍海へと近づく影、それは紫色の狼の耳と尻尾を出して紫のマイクロビキニを着たウルフアイリーン。
「私は龍海さんが私や身内以外の女性の事を考えている事の方が気になります」
アイリーンは彼女の気配を察して立ちあがった龍海の背後を取って抱きつく、龍海の腰をロックしているのはいつでも投げに入る為だ。
「な、何でそんなデンジャラスな格好を日曜の朝からしてるんだよ!」
危険な狼娘に背後を取られた龍海。
「龍海さんが犬好きなのでこの姿の私を可愛がっていただこうかと♪」
ご丁寧に首輪まで付けているウルフアイリーン。
龍海は彼女の誘惑に負けそうになっていた。
だが、龍海もやられてばかりではないので抜け出し逆にアイリーンと向き合う。
「いや、この間あった不審な女の子が多分敵になる気がするからどう戦おうかなって考えていただけだよ」
アイリーンの疑問に答える龍海、彼に邪心はなかった。
「む~、怪しいですね? 二人目を娶るなら厳正に審査しますよ!」
「俺が嫁として愛する女はお前意外に予定はないって」
「龍海さんは自分が無自覚フラグビルダーだと自覚して下さい!」
「だからフラグとか立ててないって! こうなったらこの技だ!」
疑うアイリーンと抗う龍海。
敵がロボット兵器を作って挑んで来ようとしているのにも関わらず犬も食わぬ夫婦喧嘩をする二人であった。
自分を疑うアイリーンに龍海が行なった技は尻もみであった。
アイリーンの尻を強弱をつけて素早く揉んで蕩けさせた。
犬の尻を揉んで犬を手懐ける技が人狼にも効く事を父親から教わっていた龍海。
人狼モードになっているアイリーンにその事を実践したら効いた。
快感に蕩けてうなだれるアイリーンを抱き止める龍海。
「よ~しよし♪ いいこ、いいこ~♪」
犬を撫でるように彼女を撫でる龍海。
アイリーンをその場ではなだめる事に成功した龍海であった。
だが、アイリーンの尻を揉みしだいて彼女を刺激したのが不味かった。
彼女のスイッチを入れてしまった龍海がこの後アイリーンに襲われたのはお約束の流れであった。
「私は、龍海さんを信じていますから♪」
「いや、信じていたらああはならんでしょ!」
濃厚接触を終えた二人。
アイリーンは、ワンピースにカーディガンにサンダル。
龍海は青いアロハにジーンズと言う装いで地元のカフェでカップル限定のパフェ
を食べていた。
「あれは私を構わない龍海さんがいけないんです」
「いや、いつも構ってますよ?」
「ムーチョムーチョです、私に対する愛情が足らぬワンですよ?」
「いや、いきなり犬っ娘属性を出されても困るんだが?」
「これからはもっと、ご主人様の自覚をもって私を愛してくださいね♪」
他の客や店員が必死に二人の会話をスルーする中で龍海に甘えるアイリーン。
「いや、変なキャラ出さなくていいから!」
可愛らしい兎のポーチから首輪を取り出して見せるアイリーンを止める龍海だがその様子を見た周囲がますます潮騒の如く引いていく。
敵の方は真面目に戦いに備えているのに対してヒーロー側はゆるかった。
ヘルグリム帝国は世代が変わっても、自分達が人生をエンジョイする事を重視
していた。
支払いを終えてカフェを出る二人、笑顔のアイリーンに対して彼女に腕を組まれている龍海の顔は青ざめていた。
「人通りから離れたい、海の方へ行こう」
「はい、二人のプライベートビーチですね♪」
「プライベートじゃないから、周辺の人達が気を使ってくれてるだけだから!」
龍海達が行く海岸にも漁師さんとかいたりするが、彼らは島を守るヘルグリム帝国に世話になっているので二人を見守っていてくれるのである。
周囲の人達に助けらて龍海達は青春を謳歌していた。
一方、財団Uの秘密基地ではついにN兵器の試作品である人型ロボットのムクロが完成していた。
シャッターの前で跪いているムクロ。
その五mほどの大きの灰色の巨人の中には同じく灰色のバイザーとバトルスーツに身を包んだ少女、コピーキャットが乗っていた。
「それじゃあパパ、実戦テストに行って来ます♪ ムクロ、機動」
コピーキャットの言葉で灰色の巨人が立ち上がる。
シャッターが上がり切ると同時に、背中のブースターを点火させて勢いよく
走り出してムクロは空へと飛び上がった。
ムクロの目的地は桃ノ島、龍海達がいる人気のない海岸であった。
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