第45話 ドラゴン・ミーツ・アフター86その1
大晦日、ヘルグリム帝国の皇帝一家は浮かれていた。
クリスマスイブから冬休み突入した彼らは完全に休みモードだった。
食卓には年越しそばが全員分並び、食べようかという所で大使館内の玄関口の虚空に突然木製の扉が現れて開き訪問者が現れた。
「突然の訪問、失礼いたします私は死神族のヴォイド・タイムオーバー、恐れながらゴート六十九世の御世より三代後の未来より参上した者です」
執事服に身を包んだ青肌に黒髪の美青年、ヴォイドが恭しく膝を付き一礼する。
「ヴォイド~~? ひいお祖父ちゃん達、唖然としてるって~!」
ヴォイドの後ろから現れたのは、頭に小ぶりな山羊の角を生やしたピンク髪に眼鏡の愛らしい顔の小学生位の美少年だった。
「え~っと、記録では知っているけれど初めまして? 俺は
繋太郎が龍海達、この時代のインペリアルファミリーに自己紹介をする。
礼儀正しく振舞おうとするのは、ヘルグリム皇帝一家の血筋を感じさせた。
「我がプリンス、皆様にご用件をお話いたしましょう」
ヴォイドが繋太郎に告げる。
「いや、こちらが助けを求める側なんだしまずはひいお祖父ちゃん達に俺達を受け入れてもらわないと駄目だよヴォイド」
繋太郎がヴォイドの勧めを断る。
「大晦日に未来から曾孫が来るって、何でもありだよなニュータントって?」
「龍海さんと私の未来は安泰♪ 繋太郎君、畏まらなくても良いですよ~♪」
現実から逃げ出したい龍海と、積極的に繋太郎を受け入れようとするアイリーン。
「まあ♪ 玄孫の顔を見られるなんて素敵なサプライズだわ♪」
リーファは大喜び、進太郎はまず額に手を当てて天を仰いだ。
龍海が面倒な現実から逃げたがるのは間違いなく進太郎の遺伝だとわかる。
「そこの少年がうちの血筋なのはわかった、まずは宴に加わりなさい」
事態を受け入れた進太郎の言葉に従い、繋太郎達も席について大晦日の宴に加わった。
「心配はいらないわ♪ 私達は家族、未来から来た子だろうと面倒を見るわ♪」
リーファが繋太郎に微笑むと繋太郎も笑顔になりヴォイドに向けて
「ほら、やっぱり馴染んでもらうって大事でしょ♪」
と語る。
「そうですね、私もご相伴に預からせていただきます」
ヴォイドが繋太郎に頷くと、ヴォイドにも蕎麦の入った丼がフランから差し出された。
「腹が減っては戦はできぬ、食事をしながら作戦会議を行おう」
家長である進太郎の言葉で、大晦日の一家団欒が始まる。
未来から子孫がやってくるという珍事は、ヘルグリム帝国の長い仕事納めが始まる前振りであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます