第44話 クリスマス アイリーン物語
「ここはどこだ?」
龍海は全裸で闇の中を漂っていた、どうすれば抜け出せるのかわからず闇の中を泳いで進むと一筋の光が見えたので光へと向かって進んでみた。
光へと進んで行った龍海は、段々と何かに流される感じに襲わると同時に光へと吸い込まれた。
そこはどこかの雪原、全裸なのに寒さを感じないどころか物に触れずふわふわ浮いている自分の状態を把握した。
「幽霊みたいな状態? あれは、父さんか?」
雪原を疾走する悪魔の騎士、それは間違いなく父であるデーモンブリードだった。
父親が自分をすり抜けて行った事で、自分の幽霊状態を確信する龍海。
「これ、誰かの記憶?」
父親を追う事にした龍海、父を追って行くと金網で覆われた白い巨塔が見えた。
巨塔と外界を隔てる入り口を、龍海が失禁するほどの怒気を込めた巨大な闇の大斧を一閃し消し去り進むデーモンブリード。
「ガ、ガチで父さんがキレてる!」
過去の記録では見たことのない父の姿にビビりながら追う龍海。
異常を感知し、白い防護服に突撃銃で武装した集団を指を鳴らして闇の底へと沈めるデーモンブリード。
「殺す、殺す、うちの国民に手を出した奴らは絶対許さねえ!」
黒い暴力となって突き進むデーモンブリード、この白い巨塔はどうやらヴィラン組織らしく異形の怪物らがデーモンブリードを襲うもその行為は無意味だった。
襲い来る敵を容赦なく殺していく父の姿に龍海はドン引きした。
やがて、研究施設らしき場所へとたどり着いたデーモンブリード。
その目の前には、巨大なポッドが三つほどポッドよりも巨大な球体に繋がれていた。
ポッドの中には龍海も良く知っている、ヘルグリム帝国の民である人狼と人魚と人工生命族が緑色の液体に漬けられていた。
「今すぐ怪しい実験をやめてうちの国民を返せ、そうすればきちんと裁判にかけて処刑してやる!」
研究施設の長らしいブロッコリー人間かと思うようなほどに異常に肥大化した頭部をもつ白衣の老人がノーと拒絶して指を鳴らす。
すると、どこからか銀色の鎧兜で身を固めたドクロ人間がデーモンブリードに襲い掛かる。
ドクロ人間は、研究所の敵とは違うようで剣を振るいデーモンブリードと打ち合っていた。
その隙に、ブロッコリー頭の科学者はコンソロールを操作して捕えていた帝国の民達を液体化させ巨大な球体へと注入した。
帝国民の注入を終えると施設の天井が開き、球体がロケットのように発射された。
「ああ、こんな事されたらそりゃ怒るわ俺も怒る」
父の行動に納得した龍海、自分の所の国民をさらわれて殺されたら君主たるものブチギレて当然と教育されてきた身である。
ドクロ人間とブロッコリー頭をデーモンビームで殺し、空飛ぶ球体を飛んで追いかけるデーモンブリード。
気づくと、龍海もデーモンブリードの後ろにいた。
『球体の中身を開けるのじゃ!』
ゴート66世の言葉に従い、球体についているドアを殴りぶち破って開けるデーモンブリード。
球体の中には、珠の様な赤ん坊が液体の入った丸いケースに入っていた。
「あ、赤ん坊だと? 奴ら何を研究してやがった!」
『赤ん坊に罪は無い、助けるのじゃ進太郎!』
「わかったよ、お祖父ちゃん」
ケースを外し、赤ん坊を抱えて抜け出すデーモンブリード。
「ん? もしかしてこれってアイリーンの記憶か?」
赤ん坊は無事に助けられ大使館に連れ帰られた。
リーファ、アニー、メイ、フランが赤ん坊にミルクを与えながら出迎える。
「この子は悪の組織の研究所から助け出した、家の子として育てよう」
変身を解いた龍海と同じくらいの年の若き父、進太郎が宣言する。
新しく来た赤ん坊に、リーファ達が順番にミルクを与えていく。
「この子、女の子ですわね? た、たっちゃん!」
リーファが女の子と赤ん坊の頃の龍海を抱いていると赤ん坊の龍海が女の子に
ぶちゅっとキスをしていた。
その様子を見た、幽霊状態の龍海は絶叫した。
「俺、何してんだ~~~っ!」
叫びながら龍海は闇に吸い込まれていった。
「龍海さん、龍海さ~ん♪」
甘い声が龍海を呼ぶび、その声で目覚める龍海。
そこには、ノーマル、人狼、人魚、人工生命、ミイラ、そして新たにドラゴン娘となった六人のアイリーンが全裸で龍海を取り囲んでいた。
「……うわ~♪ アイリーンがいっぱいだ~♪」
龍海は正気度が激減した。
「今日はもうイヴですよ~♪ メリ~クリスマ~ス♪」
口々にメリークリスマスを言うアイリーン達は、全員頬を染めて恍惚とした表情をしていた。
「今日は、私も~♪ 龍海さんも~♪ み~んな、のお誕生日で~す♪」
十二月二四日、それはクリスマスイヴであると同時に龍海を含む兄弟姉妹達と父である進太郎の誕生日だった。
「私達は~♪ プレゼントに~♪ 龍海さんをいただきまっしゅ♪」
アイリーンの宣言と共に龍海はゾンビ映画の被害者の如く襲われたのだった。
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