第36話 正妻戦争
「おのれ! 我の恋路を妨げるか、侵入者め!」
マミーラが無数の黑い瘴気を放つ包帯をエンプレスブリードへと放つ!
「あなたの横恋慕も野望もここで終わりです、ウルフクロー!」
エンプレスブリードも疾風を纏った黄金の爪で襲い来る包帯を切り裂く!
「俺も戦うぜ!」
龍海が気を取り直して、変身しようとする。
「龍海さんは、下がっていてください!」
「我が夫よ、下がっておれ!」
エンプレスブリードとマミーラの双方から、参戦を拒絶される。
というかあのヴィランは、俺を勝手に夫呼ばわりするな。
「いい加減にしろよ!」
俺はドラゴンブリードに変身した。
エンプレスブリードはマミーラというヴィランと空中戦で派手に暴れているが
水又教授を助けねばならない、一気に教授の所まで飛び彼女を謎の装置から
取り外す。
「な、我より年上の女が良いのか?」
「隙ありです、エンプレスパンチ!」
隙をついたエンプレスブリードがマミーラを床に叩き落とし、衝撃で床が崩れた。
空間を操作しゲートを開けて教授をキャンプ地に戻すと俺は、地の底へパートナーであるエンプレスブリードを追って行く。
闇の触手を出してエンプレスブリードを絡め取って、俺のそばへと引き寄せる。
「え、戦いの途中ですから離してください!」
戦いの手を俺に止められてもがくエンプレスブリード。
「離さねえよ! 俺を置いてけぼりにするな♪」
がっちりとエンプレスブリードの腰を両腕で抱きしめる。
「おのれ、見せつけおって~~!」
マミーラが蛇のような目でにらみ牙をむく。
「見せつけてやるよ、ヘルグリム帝国のインペリアルカップルの力をな!」
「はい、私たちの愛の力を思い知って下さい!」
俺とエンプレスブリードが呼吸を合わせて宣告する。
「あくまで我を拒むか、力づくでも奪い取ってくれる!」
マミーラが地下空間からミイラの怪物達を呼び出し自分は金色のエジプトコブラの
怪物へと変身した。
「悪いが蛇じゃ龍には釣り合わねえし、お断りだ」
出会い方や付き合い方が違っていたらまた違ったかもしれないが俺自身に爬虫類
要素があるのとアイリーンの方が好みなので、マミーラの求愛はお断りした。
ラミアランドでも狙われたが、爬虫類要素があると爬虫類に好かれるのだろうか?
何はともあれ俺の正妻はまだ抱きしめているエンプレスブリードなので父のように
他の女性を迎えるとかは予定はない。
毒液を吐いて暴れるマミーラと、四方から襲い来るミイラ軍団。
「ミイラは俺が蹴散らすから、エンプレスブリードはあの蛇を頼む!」
「了解です! ドラゴンブリードの正妻は私です、たあっ!」
エンプレスブリードが跳び、マミーラの顎を蹴り上げる。
「お亡くなりになった皆さんは火葬にしましょうね! ファイアーブレス!」
俺は超高熱火炎を鎧の竜頭から吐き出して、ミイラ達を焼き払った。
ミイラ達は来世の希望を叶えることなく、龍の炎により消し炭になって行った。
そして、蛇の怪物を相手にしているエンプレスブリードはマミーラをエンプレス
ナックルで遺跡の地下空間を大穴を開けてぶち壊しながら地上へと打ち上げた。
「私の初めての恋敵、負けるわけにはいきません! 私、独占欲は強いです!」
太陽の下、痛みに苦しみながらもエンプレスブリードを倒そうと暴れるマミーラ。
頭部が広いコブラタイプなので飛び回りながら、顎を殴る、腹を蹴る。
だが、マミーラも諦めずエンプレスブリードを追いその牙で噛み付くことに成功する。
牙による攻撃は鎧で守られるも、マミーラに飲み込まれてしまう。
だが、エンプレスブリードは諦めない。
「好都合です、エンプレスバーーーーーストッ!」
飲み込まれたなら、体内から攻撃すれば良い。
エンプレスバーストを発射して、内側からマミーラを消滅させたのだった。
俺は地上へと抜け出すと、変身を解いた。
「ふう、ようやく終わったぜ」
戦いは終わった、遺跡をぶち壊してしまったのは不可抗力だ。
むしろヴィランに調査隊を殺された教授の責任問題とかの方が多いはず。
そんな俺を、白い包帯が音を立てて絡みついてきた。
「何、まだミイラが? ……って、アイリーン?」
俺の手足を包帯で縛る主を見ると、裸の上に白い包帯を巻いたミイラ娘のコスプレ
をしたアイリーンだった。
「龍海さ~~~ん♪ うふふふふ♪」
舌なめずりをしながら俺に近づくアイリーン。
「ちょ! その姿は一体何があったんだ!」
なんでアイリーンがミイラの姿をしているのか、俺には理解できなかった。
「私が、モンスターの因子や能力を植え付けられるようにデザインされて生まれたのはご存じですよね?」
アイリーンが自分の性質について語る。
「ああ、知っているがまさか?」
俺はアイリーンに押し倒されながら可能性に思い至った。
「ええ、私はまだモンスターの能力を取り込めるみたいであのマミーラから戦いの中で因子を取り込んでしまったみたいです♪」
とんでもないことを言い出すアイリーン、ミイラ姿だからマミーアイリーンとでもいうべきだろうか?
ミイラ取りがミイラになるという言葉を、違う意味で実現したアイリーンに俺は襲われた。
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