第33話 免許を取ろう
「龍海さん、あ~ん♪」
口を開けるアイリーンに赤飯を食べさせる龍海。
「息子よ、お前もか!」
自分の伴侶に押し倒されるのは、ヘルグリム帝国皇帝の伝統なのかと進太郎が
頭を抱える。
「抵抗できる状況じゃなくてって、父さんもそうだったんでしょ?」
龍海が照れながら反論しつつ赤飯を食う。
「うふふ♪ 旦那様、私達も負けてられませんわ♪」
リーファが龍海に赤飯の食べさせ合いを要求する、当然アニー達も同じく。
「わかった、あ~んしなさい♪」
妻達の要求に応じる進太郎、何だかんだで夫婦仲は熱い。
「こ、これは私達も見習わないと」
アイリーンが分裂しようとする。
「いや、分裂はやめようね」
それを止める龍海。
「それでは、お昼にイチャイチャを希望します!」
龍海に要求をするアイリーン。
「ああ、仲が良いのは素晴らしいが節度は大事だぞ」
ブーメランな発言だが息子も自分の二の舞になると思い、お祖父ちゃんになる覚悟を決める進太郎。
「あ、ありがとうございますお義父様♪」
アイリーンは感激。
「その時は、よろしくお願いします」
龍海は申し訳なさそうな表情。
「ああ、それとアイリーンのヒーローライセンス取得に行って来なさい」
大事なことは忘れずに伝える進太郎。
こうして彼らの、ピンク色の空気な朝食は終わる。
アイリーンは、緑に黄色ラインのジャージにスカートにスパッツで安全靴。
龍海はソフトシェルジャケットにストレッチパンツで、安全靴。
どちらも鉄板入りなのは、蹴る為なのは言うまでもない。
「そう言えば、アイリーンはジャージが好きなの?」
龍海が尋ねる。
「はい、カンフー映画を見て憧れました」
瞳をキラキラと輝かせながら構えるアイリーン。
「そうなんだ、アイリーンの趣味とかこれから教えてよ」
と仲良くやり取りをしながら移動して役所の大きい建物に入る。
ヒーローの免許制も、狩猟免許並に浸透してきたご時世。
書類の申請は滞りなく終わり、続いては実技テスト。
パワードスーツを纏うヒューマン・ヒーローの場合は、体力テストがある。
だが、ニュータントの場合はピンキリだが身体能力が一般人より強化されているので器具の破損などを考慮して免除されていた。
では、ニュータントのヒーローをどう数値化してデータを取るのか?
その答えとして開発された、VR空間での戦闘シミュレーターに挑むアイリーン。
データを基に再現されたヴィランと電脳空間で対決する試験が始まる。
アイリーンはエンプレスブリードへと変身した。
まず現れたのは、カマキリ人間の姿をしたヴィラン。
「ジャンケンなら永久にチョキ扱いな腕ですね」
彼女に襲いかかる凶刃、だが彼女は避けずに構えた。
甲高い金属音が鳴り響き、カマキリ人間の鎌が割れる!
帯電したエンプレスブリードの拳が、カマキリ人間の攻撃に合わせて
突き上げられていた。
「ここはあの武道家の片の様に行きますか、ホアタァ!」
怪鳥音を上げて中段突きを繰り出しカマキリ人間の腹を突き破り撃破。
「まずは、一勝ですね」
拳を突き出して半身に構えて、タンタンとステップを踏むエンプレスブリード。
ノリが伝説の武道家のそれだった。
次の対戦相手は、割れたハートのマスクを被ったヒーローもどきのヴィラン。
バレンタインクラッカーだ。
「不快なマスクですね、でも先ほどの敵よりはできるかも?」
互いに構える、バレンタインクラッカーが拳に黒い怨念を燃やし
必殺技のハートブレイカ―を打ってくる。
「私の胸は龍海さんの物です!」
拳を肥大化させ、相手のパンチに自分のパンチを当てるエンプレスブリード。
ぶつかり合った衝撃でバレンタインクラッカーが弾き飛ばされた。
だが、よろよろとしながらもバレンタインクラッカーが立ち上がる。
「しぶといですね、こちらからも行きます! エンプレスナックル!」
肥大化させた黄金の拳を射出するエンプレスブリード、その一撃は並のヴィラン
でしかないバレンタインクラッカーを葬るにはオーバーキルだった。
こうして、実技テストを経てアイリーンはヒーローのライセンスを手に入れた。
「やりました、これでお仕事でも龍海さんとご一緒できます♪」
満面の笑みで龍海へ抱きつくアイリーン。
「おめでとう、これからよろしく♪」
そんなアイリーンを抱き返す龍海。
アイリーンは嬉しさの余り狼の耳を出して半獣人化していた。
龍海達が青春を謳歌する中で、新たな事件が迫っていた。
エジプトの黒砂漠、いくつもある山の一つに古代の神殿が隠されている事を人々は知らない。
その隠された神殿の最奥で、複雑な模様が刻まれた石棺の蓋が開く。
棺の中に眠るのは、全身を包帯で包んだ豊満な少女のミイラ。
ミイラの目の部分が金色に輝くと、全身を覆う包帯が燃え上がり黒髪に褐色の美少女が目を覚ます。
「我、復活せり!」
美少女が立ち上がると何処からともなく、黄金の冠などの装飾品や白いワンピースドレスが飛んできて彼女に装着される。
「我が名はマミーラ、我が甦った今こそ侵略の時!」
彼女の名はマミーラ、彼女こそ遙かな古代より甦ったミイラのヴィランであった。
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