第22話 デーモンアーマーの力 後編

 暴走するフェリーを救助に向かった俺達、だがフェリーの後ろからとんでもない者が現れた。

 

 それは、Tの字みたいな頭を持つ超巨大シュモクザメだった!

 「鮫が巨大化って、何でもアリだなニュートラル!」

 雨みたいな水しぶきは、師匠のレッドブレイズが一気に蒸発させてくれた。

 こいつに狙われたからフェリーは暴走したのかと思った。

 

 俺達三人はバイコーンを送還し飛行状態になり、フェリーと鮫の間に割りこんだ。


 鮫がそのトンカチ頭でフェリーをぶち壊そうとするのを防ぎにかかる。

 「行くぞ息子よ、障壁を張れ!」

 父さんに合わせて、鮫に向けて両腕を突出し相手に匹敵するほどの黒いエネルギーのバリヤーを張りめぐらせる!

 超巨大シュモクザメは、バリヤーに頭をぶつけてひっくり返った。

 巨大生物が起こす水しぶきって、大雨並にヤバイがその辺りの被害はレッドブレイズが防いでくれるのが流石は師匠とありがたかった。


 「そのまま重力制御の応用で、斥力で空までぶっ飛ばすぞ!」

 「おう!」

 デーモンブリードとデーモンアーマーを着た俺の親子合体技で、鮫の化け物を

海から空の上へと押し上げた。

 斥力云々は、何かこう思い切り天まで突き上げるイメージをしたらできた。

 

 「これが、父さんの力?」

 俺が尋ねる、自分とは違う力に高揚感が沸き上がる。

 「俺だけの力じゃないしこれだけでもない、お前にまで続くご先祖様達の力だ!」

 デーモンブリードが、バンプアップし紫色の城塞を身に纏い空へ舞い上がる。


 おそらくフランママの力を借りたのだろう、自分もできるだろうかと異母兄弟のギュンターの事を考えて頭の中で呼んでみる。

 「たっちゃん、呼んだか!」

 返事が帰って来た、何これヤバイ。

 「父さん達と戦ってる、力を貸してくれ!」

 頭の中で叫ぶと、了解の返事が来た。


 ドラゴンブリードがデーモンアーマーで兄弟の助けを求めた時、左肩の山羊の頭が

 変身したギュンターの顔になり全身の色が紫色に変わった。

 デーモンアーマーの機能、家族の力を借りれるサモンファミリーだ!

 

 『パパ、たっちゃんの姿はどうしたんだよ!』

 上空でデーモンブリードとドラゴンブリードの二人が超巨大シュモクザメの腹を担ぎ上げた時、肩アーマーになったギュンターがデーモンブリードに尋ねる。


 「見ての通り、たっ君がアイテムでフォームチェンジしたんだ! ギュンターよ俺に合わせつつ、出力を上げて行くぞ!」

 デーモンブリードと、ドラゴンブリードが鮫に高圧電流を流し込むと激しく鮫はのた打ち回るが二人にがっしりと掴まれているので逃げられない。

 

 敵は、まな板の上の鯉ならぬ鮫状態だ。

 俺と父さんが鮫を相手にしている間、師匠は師匠でフェリーを誘導していた。

 「よし、フェリーは港へ行った! このままフォームチェンジの練習、行くぞ!」

 父さんの言葉に俺は頷く、船の安全は守ったら後は倒すだけだ。


 父さんと二人で大量に電流を流し込んだせいか、鮫のニュータントは意識を失っていたちょっとだけ動物虐待にならないか心配になったが超巨大生物に虐待も何もあるかと開き直る俺。

 『じゃ、俺は帰るぜ頑張ってな♪』

 と言ってギュンターが帰り、父さんもフランママを送還する。

 再び俺たち親子は、悪魔の騎士みたいな姿に戻った。


 「次は水の力で水中戦だ!」

 父さんがメイママの力でメイフォームに変わる。

 

 「じゃあ俺は、マーレ!」

 異母姉妹の名を俺が叫ぶと、右肩が半魚人の頭に変わりカラーも緑になり足にヒレが生える姿になると右肩から文句が聞こえて来た。

 『ちょ! いきなり呼び出さないで下さいまし!』

 マーレは不満そうだったが、仕方ない。

 

 「悪いが、お前の力使わせてもらう!」

 『レディの扱いがなっておりませんわ、たっちゃんは暴君ですわ~!』

 何と言われても気にしない、時には強硬手段も辞さない。


 父さんと鮫を担いだまま体勢を逆さにして、海へと急降下でダイブする!


 周囲の安全が確保されたからできる荒業だ、父さんはパドル、俺は三叉槍と武器を手に持ち親子二人で鮫の回りを動き回りながらザクザク切り裂いていく。

 「合体技で行くぞ!」

 「わかった、やってみる!」

 

 父さんと同時に武器を構える

 「「デーモン・ストーム!」」

 二人同時に回転し渦を起こしながら突撃して、鮫こと超巨大シュモクザメは肉も内蔵も粉みじんになり骨になった。

 

 「父さん、この技さあ? 練り物作るみたいじゃね?」

 自分達が出した技を見て俺は、かまぼこ屋さんが魚をすり身にする作業を思い出した。

 「ああ、原理は一緒だな。」

 父さんがあっさり答える。


 敵を倒したので、海上へと浮上する。

 「フォームチェンジの感覚はつかめたか? これからの戦いに役立てて欲しい」

 父さんの言葉に俺は頷いた。


 「ところで、何か忘れてる気がするのは気のせいかな?」

 俺はふと、何かを忘れている気がしたので父さんに聞いてみた。


 「すまない、父さんもそれは思い当たらない」

 そう父さんに言われ、思い当たらないなら仕方ないなとフェリーの事は師匠に任せて家に帰宅した。


 「旦那様♪ たっちゃんのフォームチェンジに、何故私を立ち合わせていただけなかったのですか?」

 家に帰ったら、母さんが仁王立ちで待ち構えていた。

 「私達だけ仲間外れはヒドイでちゅ!」

 アニーママも一緒に父さんに詰め寄っていた。

 

 「いや、まだ本番ってわけじゃないし、敵も倒しちゃったしなあ?」

 助けを求めるように俺を見る父さん、俺が母さんに勝てるわけないだろ!


 「お兄様は薄情です! 何故、私をお呼び下さらなかったのですか!」

 俺は俺で、雪花に詰め寄られる。


 「いや、俺は父さんに倣っただけだ! あの場で氷結系は特に使い所が無かった」

 俺も俺で自分の弁明をするので父さんのフォローはできなかった。

 

 その間に父さんは、母さん達に拘束されて寝室へと連れて行かれた。


 「それが薄情だと言うのです! お兄様は実妹を大事にすべきです!」

 雪花がさらに怒りだしたので、俺はくるりと背を向けて逃げ出した。

 

 結局の所、デーモンアーマーの使い方は覚えたけれど俺が兄弟姉妹達をまとめ上げて一つのチームになるのはまだしばらく先になりそうだった。

 


 

 


 

 

 



 



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