第19話 デーモンプリンセス

 俺の異母姉妹達の話をしよう。

 

 雪花が帰省した翌日の屋敷のリビングは、女子率が高かった。


 雪花が帰省したと聞いて魔界からやってきたのは、女子組三人。

 「あ~、せっちゃんが帰って来た!」

 赤い軍服を着て、狼の耳を生やした赤髪縦ロールに白い肌に巨乳の美少女の名は

モーグレット。

 幸太と同じくアニーママから産まれた人狼の異母姉妹。


 「突然、家出って何を考えてるんですの?」

 フリルワンピースを着た緑の髪を三つ編みにした褐色の眼鏡美少女は、マーレ。

 耳の辺りがヒレになっている人魚のトランジスタグラマーな女の子。

 明人の双子の妹でメイママの異母姉妹。


 「雪花? お帰り~♪」

 ポテチを食いながら登場したのが、紫色のパーマがかかったショートボブと眠そうな目つきの緑のジャージを着た少女がブリギッタ。

 肌の色は白く胸は大きいが筋肉もしっかりついている、ギュンターの双子の妹で

フランママの異母姉妹。


 皆美少女だが、筋肉は鍛えられていて戦闘能力は高いモンスター娘達だ。

 彼女達三人に雪花を加えた四人が、デーモンプリンセス。


 プリンセスとは一体?


 「たっちゃん、何か失礼なこと考えてますの?」

 マーレが俺の心を読んだかのように青い瞳で睨んでくる。


 「女心がわかってないなあ、たっつんは」

 モーグレットは呆れ顔。


 「たっちゃんのお嫁さんになる人、かわいそう」

 黄色い目のブリギッタも辛口だ。


 「お兄様、薄情な上にそのようなお心ではモテませんわ」

 同じ母から生まれた雪花もキツイ。


 「何で、お前らそんなに息が合ってるんだよ!」

 同母の妹からも異母姉妹からも言葉でボコボコにされつつ俺は耐える。


 「何だかんだで、一緒に過ごしてた姉妹だし~」

 ブリギッタが緩い口調で言うと、他の姉妹達も頷く。

 「女子の団結力は強いんですのよ♪ たっちゃんは、体は大きくてもお子ちゃまなんですから♪」

 小柄なマーレがお姉さんぶる。


 「父上もだけど、家の男子達はお子ちゃまだから」

 父さんもお子ちゃま呼ばわりするモーグレット。


 「そんな事言ってると、また小遣い減らされるぞモーグレット」

 モーグレットに言葉を返す俺。

 「……うっ! ち、父上はもっと私達にもお小遣いと愛情を注ぐべきだよ!」

 一瞬言葉に詰まるモーグレット。


 「モーグレットは、趣味にお金使いすぎ~♪」

 ブリギッタが笑う。

 「モーちゃん? お父様は愛らしいのです! お兄様は、子供っぽいのも魅力です!」

 雪花から冷たいオーラが出る。

 「せっちゃんは、ファザコンとブラコンをこじらせ過ぎだよ!」

 雪花に言い返すモーグレット、こちらも熱気を出す。


 「二人とも、喧嘩するならデーモン道場でして下さいませ♪」

 異母姉妹の喧嘩を止める気がないマーレ。


 「たっちゃん、どっちが勝つか賭ける~?」

 姉妹喧嘩を賭けにしようとするブリギッタ。


 「ブリギッタは、不謹慎な事を言うなよ!」

 俺はブリギッタを窘めた、女子の勢いという意味での女子力に負けてられない。

 かしまし娘な姉妹達も治められなくては、将来の皇帝なんて勤まらない。


 「雪花は帰ってきて早々喧嘩とかするな! モーグレットも父さんを侮辱するようなことを言うな!」

 雪花とモーグレットを治めるべく、言葉をかける。

 「そ、そんなお兄様! モーちゃんが!」

 「え? 私?」

 俺を見やる二人に対して、俺は体から湯気のごとく闇のオーラを出す。

 「二人とも大人しくしような、マーレは喧嘩をすすめたりブリギッタも姉妹喧嘩を賭けにしようとか駄目だろ? ちょっと俺、全力出すぞ?」


 「そ、そんな私は妥当な解決策を!」

 「たっちゃん、乱暴~」

 俺に抗議する、マーレとブリギッタを俺は睨み返す。

 女の子に対して酷いとか思わない、モンスターを止めるにはこちらが更に強いモンスターの力を出すしかない。

 俺の本気を感じ取ったのか大人しくなる姉妹達、モーグレットと雪花もおとなしくなった。

 姉妹喧嘩の勃発を防いだ俺が矛を収めた瞬間、背後から後頭部にぼにゅん♪ 

 と言う音と柔らかい感触に頭全体を包まれて、俺は意識を失った。


 「喧嘩を治めるためとはいえ、女の子に乱暴は駄目よたっちゃん♪」

 いつの間にか現れた母さんの胸に締め落とされた俺は、そのまま母さんの私室へとズルズルと引きずられて連れ去られて行った。


 

 

 


 

  

 

 

 


 

 

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