第10話 太い足の馬

 高校に入学すると、夕方17:40に部活動を終了し、50分には正門を出て、駅に向かって走り、18:12の御殿場線に飛び乗った。


 いつだったか、駅に向かう途中の林の出口で、前から何か私の真横をすり抜けていく姿が見えて、ぶつかるかとヒヤッとした。


足の太い黒っぽい馬。そして、その上に乗っている武者?


まさか・・・そんなことがあるわけないと頭の中から光景を打ち消した。


しかし、それは許されなかった。そこを、その時間に通る度、見えるし、聞こえるようになった。それが怖くて怖くて、必死になって走った。男の子も一緒にいたところで事態は何も変わらなかった。

そこから2軒目の民家が見えてくると、小さな祠があった。そこまで行くことができれば、それらはスッと消え去った。


その道を通らなければいいんだ・・と、同じ陸上部の男の子にもお願いして、逆側から駅に向かったこともあった。結果は、何も変わらなかった。


 歴史が苦手な私は、昔、そこで何が起きていたのか、見えている人たちが誰だったのか、知ろうともしなかった。

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