第3話 不思議な5匹の仔猫

 松雄と静子は、眠らない赤子を交代で抱き、そのまま休む日が続いた。

そんなある日、静子は、たまらず我が子を布団の上に投げつけ、丸め、「布団虫」にしてしまった。その日を境に、赤子は眠らない上に泣き続けるようになった。

その時代、ネズミがミルクの匂いに誘われて、赤ん坊に噛みつくという事故があちこちで起きていた。

 どこから来たのか不思議だった。仔猫が5匹、赤子の布団の傍にやって来て、離れなかった。

仔猫に噛みつかれては大変だと、静子は隣人に赤子を頼み、仔猫たちを段ボールの箱に詰めて、紐で自転車にくくり、黄瀬川の川岸まで捨てに行った。

ところが、川岸に到着して、箱を開けると、いるはずの仔猫たちがいない。抜け出してしまったのかと、そのまま家に戻ると、仔猫たちが5匹揃って家の前にいた。そんなことが二度三度続いた。


 気味が悪くなった静子は友人に相談した。そして地主にそのことを話した。

地主が昔の古い地図を蔵の中から出してきて、静子とその友人に見せてくれた。

3人は、地図を見て揃って言葉を失った。


 神社を起点として借家が建つ位置を指さしたところに書いてあった文字。

それは「首塚」だった。


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