第3話 貧乏くじ男、逃亡正常
逃げて逃げて逃げまくっている男
ある男がいた。彼はいつも逃げていた。周りの正常な人は彼を見ていた。
いったい何がそんなに怖いのかな
俺を見るな
彼は逃げた。逃げて逃げて逃げまくった。彼は逃げているが追うものは誰もいなかった。逃げるが勝ちというが、勝敗を決める審判はいなかった。まあ逃げきれていない様子だった。
彼は逃げた。逃げて逃げて逃げまくった。彼は足が速くなかった。よく転んでは膝をぶつけた。よく叫んでは何を話しているかわからなかった。よく泣いては顔を濡らしていた。
彼は逃げた。逃げて逃げて逃げまくった。彼には手があって足があって顔があって体があって、見た目はなんら普通であり変わったところはなかった。どちらかというと顔の作りが良かったが、その顔はいつも恐怖や不安で歪んだ顔をしていた。彼の頭の中をのぞけるものは誰もいなかった。何から逃げているのか分からなかった。ただ普通ではなくどこか変わっていてくるっていた。そう思っていた。
彼は逃げた。逃げて逃げて逃げまくった。いつも逃げている。逃げていない時は怯えている。何かを見つけると逃げていなくなってしまう。彼と目があった。逃げられた。そんな彼が気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になってくるってしまいそう。くるうまえにどうにかしたいのに、彼はいつも逃げてしまう。走り出す彼を見ているだけ。いつも見ているだけ。
俺は目をつけられたんだ
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