第2話 貧乏くじ男、東放西送

「こちら、ビンボウ放送局でした!」


「おつかれ。ビンボウの発音がいいね、君がやるとカッコいいもん」


「ありがとうございます!」


「でもね、今月から人員削減をする!残念ながら君が選ばれた」


「え!?」


「占いでね。まだ東か西か未定だが、君ならどこでも頑張れる。今までありがと」


「はあ、ありがとうございました」




 そして俺は南放送局から西送りされた。西はとにかく皆忙しそうで、面倒がられて東に放り出された。




「それで東の端の入江で迷って北の人に」


「なるほど!」


「こんな話でいいんですか?」


「ええもちろん」



 なんだか俺が南や西や東の話をするだけですごく喜ばれる。たしかに北は寒くて交流は少ないから情報が欲しいのはわかる。なんだか偉そうな人が来た。



「局長この方です」


「お前にはいろんな地域の話を放送してほしい」


「はあ」


「なんでもいいんだ。地形や町並み、特産品なんかでもかまわん。一方的に同時に北中の人に向けて、情報を伝えて欲しい」


「なぜですか?」


「皆暇だからな、知りたいんだ」


「なぜ俺なんですか」


「お前が適任だと占いが出た」


「俺、占いでクビになったんですが」


「北の占いの方が正しい。よく当たる」



 他に仕事もないので了承した。最初は楽しんでいた皆はしだいに、



「なんだって!?ピザは丸いのか!?」


「そこは醤油じゃなくて薄田ソースでしょ?」


「なんで西の人ってそんなに焦ってるの?秒単位って…!南は緩すぎ」


「なんでだよ」



 俺に言われても。

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