第21話 うわっ、やる気砂漠じゃん

「あれだよ。なんつーか、がんばれば?」

「うわっ、やる気砂漠じゃん」


 エアホッケーゲームにより僕が逆転負けを喫した日の翌日、勉強を教わるべく、再び、白殿と香月が僕の家を訪れていた。

 約束なのだから、と白殿が強要してくるので、僕は仕方なく助言をしてあげたわけなのだけれども、香月のこの呆れた表情である。

 ただ、僕からすれば、当然の応答である。昨日、せっかくおっぱいが揉める権利を得たというのに、その権利をはく奪され、さらに、揉むことのできないおっぱいを目の前にしたまま、バカに勉強を教えなくてはならないなんて。


「ちゃんと教えてよ。負けたんだから」

「そうですよ。負けたんですから」


 こんのメス豚共め!


「ていうか、白殿。君は、僕に教わるの反対だったんじゃないのか?」

「えぇ、反対です」

「それなのに、何だよ、ノートなんか用意して。教わる気満々じゃないか」

しゃくではありますが、私よりも学内順位が高いことは事実ですので、学べることは学ぼうかと思っています」


 意外と現金な奴だな。


「はぁ、だから、がんばれば? 勉強は質より量だよ」

「ちょっと、まじめにやってよ。うちは、部活休んで、わざわざ来てんだから」

「そんな時間を作れるんならば、塾に行け」

「塾は毎週行かないといけないでしょ。そんな時間はないの。だから、堂環くんに勉強のコツを教えてもらって、短時間で効率よくテストの点数をあげたいの」

「都合のいいことを……」


 そんな方法あるんだったら、世に塾なんてシステムはなかろうに。


 しかし、香月の問題に真剣に向き合わなければ、いつまでも、居座られる可能性がある。仕方がないな、と僕は頭を切り替える。


「わかった。じゃ、塾にいかずに、勉強の効率をあげる方法を教えてあげよう」

「お、やっとやる気になったの? もう焦らすんだから」


 はしゃぐ香月を見て、僕は頭をかく。そこまで期待されると、ちょっと緊張する。僕は、一度息を吐いてから、仕切り直し、それからしれっと告げた。


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