act.2 聖域

 屋敷のセントラルコンピューターに向き合い、自走式防犯シェルターパニック・カーのシステムを開いた。画面に“sanctuaryサンクチュアリ”と入力した。


 自走式防犯シェルターパニック・カーは、市内の07メインストリームを走っている。


 俺はリターンコマンドを入力した。


 危険信号EMCの点滅が消え、安全表示セーフティに変わった。

 車がこちらに向かって引き返してくる。


 俺は屋敷の玄関に向かった。

 五分ほどで、自走式防犯シェルターパニック・カーが到着した。


 分厚い鉄の天井が開く。

「やあ、今回はずいぶん時間がかかったな。まったく、どこのどいつが送り込んだ殺し屋だか知らんが、あんなガキが……」

「ガキで悪かったね」

 車から出てきた男が、俺を見て言葉を失った。


「ばいばい、悪徳治安委員さん」


 俺は男の胸にナイフを突き刺した。

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