あわてんぼうの鬼
勝利だギューちゃん
第1話
1月も4日となると、普段の生活に戻る人が多い。
まだ休みのところもあるが、殆どの方は、仕事初めをしている。
でも、神社などは、まだ正月模様のようで、日日をずらして、初詣をする人もいる。
「今年は、どんな年になるかな」
誰もが思う。
そして、願わくば、
「来年も年を迎えたい」と・・・
そして、1月も6日となった。
「僕も、明日から学校か・・・」
今年は高校3年生になる。
一応は受験生だが、まだどうなるかはわからない。
「早く固めないとな・・・」
そう思い、床に着く。
「起きなさい。やってきたわよ」
なんだ?なんだ?
眼の前に、鬼がいる。
女の子の鬼だ・・・
でも、見た目は人間と変わらない。
頭の角は、小さい。
「あのう、何しに?」
僕は疑問を訪ねた。
「今日は、節分でしょ?私たち鬼と人間のイベント。
さあ、豆を巻きなさい。忙しいんだから」
「あのう」
「サッサッと巻いてよ・・・『鬼は外』って・・・」
「だから・・・」
「もう、じれったいわね。早くしてよ」
「人の話を聞いて下さい」
女の子は、口を閉ざした。
「今日は、1月6日です。節分はまだ先です」
「ほんと?」
「ええ」
鬼の女の子は、手帳を見た。
「アナログ派なんですね」
「ええ・・機械は苦手で・・・」
しばらく沈黙が続く。
「あー本当だ!まだ節分には早い」
「あのう、どうして一か月近くも早くに?」
「昨年、遅れて、お父さんに怒られて・・・また、当日来るね。じゃあ」
「じゃあ」
鬼の女の子は、帰っていた。
「なんだったんだ?」
今度は、寝過ごすな・・・
間違っても、魔の日である2月14日には、来ませんように・・・
「お休みなさい」
ガラッ
「なんだ?なんだ?」
さっきの鬼の女の子がいた。
「ごめん、忘れてた?」
「何ですか?」
「はい、これ」
鬼の女の子から、袋を渡される。
中身は・・・豆?
「私が来たら、それ巻いてね、じゃ」
なんなんだ・・・
まっ、いいや・・・
でも、豆の数が少ないな・・・
ひぃ、ふぅ、みぃ・・・
僕の歳の数だ。
何で知ってるんだ?
僕の歳を?
歳の数だけ、豆を食べる習慣があるが・・・
また来そうだな・・・
その鬼の女の子は、節分まで毎日来た。
用心深いのか、潔癖なのか・・・
おかげで毎晩、話し相手をすることになった・・・
俺・・・当分彼女はいらないや・・・
疲れる・・・
トラウマになりそう・・・
あわてんぼうの鬼 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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