第11話  緑子 二人目と出会う

今日も今日とて特務対策課。

出勤した緑子は、社長秘書さんから


「渡来さん、小村社長より急いで社長室までお越しくださいとの事です」


と連絡を受けた。


「今日はなにかあったかしら?」


と思いながら社長室へと向かう、途中ちょうど廊下の向こうから爆覇ばくはも歩いてくるのが見えた。


「おはよー緑子さん!もしかして緑子さんも社長に呼ばれた?」


「おはよう爆覇ばくは君。えぇ、その様子だと爆覇ばくは君もなのね、今日はなにかあったかしら?」


「特に何も聞いてないんだよなぁ……。ま、行ってみればわかるしさっさと行こうぜ!」


そういいながら走り出す爆覇ばくは


「こら!廊下を走って誰かにぶつかったらあぶないでしょ!」


そういいながら後を追いかける緑子であった。


「やぁ、朝早くからすまないね、実は二人に報告があってね」


「報告ですか?」


「うん、かねてから国軍のほうで行われていた選抜テストによりとうとう二人目の『限界超越適合者』が現れたそうなんだ」


「てことはメタルバン2号がとうとう稼働するんですか!」


「あぁ、そうなんだけど2号ってなんかネーミング的にどうなんだい……?」


微妙な顔で疑問を投げかける小村社長。


「じゃあ何て呼べばいいんです?」


「うーん……まだ正式名称を考えてなかったんだよねぇ……」


と小村社長は作者の心も代弁してくれる。


「じゃあ『メタルバン ツヴァイ』!」


爆覇ばくは君、なんでもドイツ語にしたらカッコいいとか中学生じゃないんだから……」


「うっ……オホン、確かにカッコいいがもう少し違う名称も考えてもいいかもしれないね」


「社長……」


アンタもかい……。


「じゃあ渡来君はどうなんだい?ドイツ語を否定するならもっと素晴らしいネーミングを考えてくれるんだろう?」


「えっ!?……うーん……。じゃあ『メタルバン弐式』」


「わ……和も中々いいな。しかし改もつけたらもっといいかもしれない」


そう言いながらうむうむと頷く二人。

別になんでもいいじゃない、と内心思いながら緑子が呆れていると館内に非常ブザーの音が鳴り響く。


『都市内より緊急通報あり、全職員及び特殊戦闘隊は直ちに配置についてください詳細は……』


とアナウンスが流れだした。


「これはいけない、二人とも急いで出動してくれ」


「「了解しました!」」


と二人は慌てて社長室から出て行くのであった。




◆◇◆


「ゴーリゴリ!傀儡よ踊れ!そして敬愛なる慟猛将軍様の傷を癒すためにエネルギーを集めるのだ!」


そういいながら傀儡人形をつかい人を攫おうとしているゴリラによく似た姿をしている襲来者が広場を闊歩している。


「そうはさせない!」


「むっ!何奴だ!」


「メタルバン到着だぜ!」


「ゴーリゴリ……おまえは敵対者の一味か……ならばそれなりの闘気が頂けるはず。我が名は慟猛将軍が旗下『ゴゥルリィールァ』いざ尋常に勝負!」


そう言い放った直後に、どこからか取り出した薙刀のような武器でびゅるりと風を切り裂きつつメタルバンの斜め下から切り上げる。


「おあっぶねっ」


慌てて後方へ下がるメタルバンをなおも追撃するゴゥルリィールァ。


「ほらほらほらぁ、貴様の実力はこんなものではあるまい!もっと本気を出さんかぁ!」


そう言いながら足元を薙刀のような武器でガシガシと突き払う。


「そっんーーなこといったって……よおおおお」


避けるのが精一杯のメタルバンは中々反撃の隙を見いだせずにいた。


「メタルバン!敵の武器の動きに惑わされてはダメ!相手そのものをよく見なさい!」


緑子は避難誘導をしつつ傀儡人形を片付けながらメタルバンへ声をかける。


「ほう……そこの鉄鎧の男よりできる者がおるようだな、ならばそちらの女子おなごと戦うほうが闘気を集めるに最適か」


とゴゥルリィールァは緑子へ標的を変えることにしたようで、メタルバンには目もくれず疾風のごとき速さで緑子へと突進していく。


「お前の相手は俺だろうが! させねぇ!」


そう言いながらメタルバンも足部のブースターを起動させゴゥルリィールァの背後からレーザーブレードを叩きつける。


「そんな攻撃が当たるものかよ!」


後ろも振り返らずにゴゥルリィールァは薙刀のような武器を自らの背後へ振るだけでメタルバンのレーザーブレードをはじいた。


「げっ……なにあいつ『心眼』でも持ってるのかしら……」


真っすぐ突っ込んでくるゴゥルリィールァを本気で迎え撃つべきか迷った一瞬。


「あー……めんどくせぇ……」


そんな声と同時に大量の青い雨がゴゥルリィールァの上から降り注いだ。


「ぎゃぁぁぁ」


さすがのゴゥルリィールァもこれにはたまらず体中に穴が開いたようだ。


「えっ……なんなの?」


「えー……まだ死んでねぇのこいつ……めんどくせぇから早く死んでくれねぇかな……おい、そこの赤いの、早く止めさせよ」


そう言いながら上空から舞い降りてきた青い特殊戦闘スーツを着た人影。


「な……何だかわかんねぇけど先にこいつだ!」


【メタルダイナミッククラッシュ】


「ぐぁぁぁ……慟猛将軍様もうしわけ……」


そう言いながらゴゥルリィールァは消えて行った。


「はー、やーっと終わったかぁ……ダル……」


そう言いながら青いスーツはしゃがみこんだ。


「あ、あの……もしかして貴方社長が言ってた軍の選抜テストの合格者です?」


緑子は恐る恐る訪ねた。


「あー……名護山 最高なごやま もりたか。社長にはアンタから適当に報告よろ、じゃ」


そう言った瞬間名護山は跳躍してどこかへ消えてしまった。


「緑子さん……やっぱりあいつが二号だったのかよ?」


そう言いながら緑子の方へ向かってくる変身を解いた爆覇ばくは


「えぇ、そうみたいね、名護山さんていうらしいわよ?」


「へー……なんか変わってるっていうか、変な奴だったな」


爆覇ばくはも大概だと思ったが、大人なので口には出さない緑子。


「ところで爆覇ばくは君、変身説くのは帰ってからじゃないと契約違反で罰金とられるんじゃなかったかしら?『トップシークレット』さん」


「あっ……だ、誰も見てないし緑子さん内緒でお願いします」


半泣きで緑子にすがる爆覇ばくは


「えーどうしようかなー。私お腹すいちゃったしお昼ご飯食べたいなー」


「おごるおごる!あ、でも社食で勘弁して……俺まだお金なくて……」


「はいはい、じゃあ帰りましょう」


こうして今日もウィンドシティの平和は守られたのであった。

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戦え緑子さん! 〜ヒーローの明るい未来は君にかかってるぞ!〜 流花@ルカ @Ruka11111111111

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