第5話 緑子 魅惑将軍エロイーナを歩く猥褻物だと思う
撮影所の入口へと戻ってきた緑子はドアを開けようとするがカギはかかっていないにもかかわらず開かない。
しかたなく近くの窓の方へ行き、傍に設置されていた消火器をガラスへと投げつけてみても、なにか紫色の薄い膜が貼られているようでびくともしない。
「嘘でしょ……」
脱出手段のない現状ではどうしようもないので、メタルバンの加勢に回ることにして緑子は走った。
一方メタルバンは苦戦していた、なにせ傀儡人形の数もそれなりにいる上に先ほど受けた精神攻撃のようなもので体がうまく動かない。
今のところは座って様子を見ている派手な女も、いつ動くか分からず焦りばかりが募ってくる。
「くそっ……緑子さん早く応援を……」
また意識が
「いい加減あきらめたらどうなのじゃ? 別に殺そうと言う訳でもなし、なにが不満なのかわからんぞえ」
その言葉にメタルバンは激昂する。
「ふざけるな! テメェ達、襲来者は人間を何だと思ってやがる!」
「なんだと聞かれてものう……強いて言えばうまい食事であろうかの?」
心底分からないといった表情で派手な女は答えた。
「俺は……人々を守るために選ばれた男だ……テメェ達のように人間を平気で
メタルバンは気力を振り絞り立ち上がり、足首よりやや上の側面に収納されていたレーザーブレードを取り出す。
「屋内だからなるべく被害を出さないように温存してたがそうも言ってられねぇか…… 喰らえ!必殺!」
【メタルダイナミッククラッシュ】
そのセリフと共にレーザーブレードが強く光り輝き、横薙ぎに一閃すると凄まじい力が
「ほう、これは面白い。 中々楽しませてくれるではないか……ならばその礼にわらわが直接相手してしんぜようぞ」
と小村社長を大事そうに、横にそっと置いて立ち上がる。
社長で隠されていたが女の恰好は、本職のSとMがつく職業の方が着るような、体にピッタリ添うような紫色の革でできた大胆な恰好であり、局部と胸以外は大胆にカットされているとても日曜日の朝に子供たちに見せられないような出で立ちであった。
さすがにその恰好を見たメタルバンが
「なんつー恰好してんだよこの痴女ぉ!」
と声を上げてしまうほどである、だが女も
「誰が痴女か! この『魅惑将軍エロイーナ』に向かってようもそんな口が聞けたものよ!」
と不機嫌な様子を見せる。
「いや……名前も十分痴女だと思うんだけど」
「問答無用! 覚悟しやれ!」
と、なんとなく読者の皆さんに予想されている気がするが、どこからともなくバチバチと電気をまとわせたムチを取り出しメタルバンを打ち据えようと振るい始めた。
「くっ! 痴女の癖に強いっ」
懐に踏み込めず、躱すのが精一杯の様子のメタルバン
「そらそら、わらわのために踊って見せよ!」
と弄ぶようにムチを振る。
「こうなったら……」
メタルバンは相打ちを覚悟して、レーザーブレードを構え姿勢を低く保ちエロイーナへ突っ込んでいく。
「ほほほほ、甘いぞえ」
ムチをメタルバンへ巻き付かせるように振ると、そのまま電撃を浴びせかけた。
「うがぁぁぁぁっ」
かなり堪えた様子で地面に倒れ伏すメタルバンだったが、残る力を振り絞って攻撃を食らう寸前に取り出していた、逆の足に収納されていたレーザーブレードをエロイーナへ投げつけた。
「ぎゃぁぁぁっ」
レーザーブレードは胸を目掛けて投げられたものを寸前で躱したが左肩に深々と刺さったようだ。
「キサマよくも……生かしてはおかぬ!」
憤怒の表情で、カツカツとヒールの音を響かせながらメタルバンへ近づき、気絶して倒れている頭部を恐ろしい角度のついた細く尖ったヒールの踵で踏み潰そうとした瞬間
「待ちなさい! そこの猥褻物オンナ!」
と野太い声がする
「な、何者じゃ!」
とキョロキョロとあたりを見回すと、緑色の肌をした逞しい体つきの恐らく女性であろう人物が立っていた。
「皆に手出しはさせないわよ!」
とエロイーナへ瞬時に肉薄して蹴りを放った。
「うがぁっ」
という声と共にエロイーナは吹き飛び、人質達から距離を離される。
これで安心して戦えるわねと心の中で安堵し、本格的に攻撃を開始するためにエロイーナへと宣戦布告する。
「さぁ、蹂躙される覚悟はいいかしら」
と不敵に笑うのだった。
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