眠りを置く
子龍は眠っている。
ひんやりとした昼過ぎの裏口で眠っている。そろそろ裏庭の草を刈らなくては。
中二階に置いた背の高い植物の下で眠っている。窓から風が入った。
店の床で遊びながら眠った。寝がえりを打ってそこらの物を崩す。
本を読んでいて静かになった。俺も本を読もう。書庫に行く。
椅子に座って瞑想。話しかけると薄目を開ける。書類の整理に戻る。
毛布を巣にして眠っている。洗濯物が乾いたな。
子龍は眠っている。動き回っていたかと思えば唐突に。目覚めればまた遊び始めるだろう。眠りの中でくらい身体を休めているのだろうか。寝言で呼ばれた。大福を作ろう。
いつまで眠っているのだろう。どれほど眠るのだろう。寝息が聞こえる。呼吸のリズム。膨れて萎みまた膨れる背中。見ていたら眠くなった。俺が眠っていると歌が聞こえる。歌の終わりを覚えていない。
子龍は様々なお気に入りの場所を持つ。そこにはいつも風が通っていて、陽射しは柔らか。巡る季節の風の中に、眠る子龍の姿が刻まれている。眠りは光を湛えている。眠りと目覚めを行き来し、陽だまりを作り、陰を渡る。見えないものを忘れない。
子龍は眠っている。いつまでもこうしていておくれ。
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