アイリーンのジュリーブ家館紹介 前編

 突然だけど今日は、私が住んでいるジュリーブ家の館について詳しく教えようと思うの!

 この前大まかには紹介したけれど、まだ詳細は言ってなかったでしょ?早速いきましょう!


 まずは本館からね。前に言ったけれど本館で暮らすことができるのは当主の正妻とその子供。だからお父様、お母様、お兄様、お姉様、私、アルノリト、ナターリヤが住んでいる。

 後は使用人達ね。彼らの場合は本館近くにある使用人専用棟に住んでいる者と、家が近いから通いで来ている者の2つに分かれているわ。貴族の側近達は全員通いよ。

 本館の一番奥にはお父様とお母様の共同執務室があるわ。二人はラフミューレのトップだから絶対安全の場所にいるの。警備が厳しくて親族でもあまり近付けないのよ。お母様の子供である私は結構楽に行けたりするけど。本館に住んでいない者は基本的に全て警戒対象とみなされるわね。でも親族としての交流はあるからその点では信用されてるといえる。

 まぁその信用されている面とそうではない面の話は結構複雑だからまた今度説明するとして、私達兄弟が住んでいる場所に向かいましょう。


 私達も襲われたら危険だからそれなりに警備が行き届いている所にお部屋があるわ。誕生日的に成人すると一人一人に新たに部屋が与えられるの。今は兄弟全員で使う共同部屋と各々が生活の基本を行う個人部屋。それと衣装部屋かしら?衣装部屋は私室と繋がっていていつでも入れるけれど、基本的に立ち入らない。その日着る衣装は側近達に全て任せているの。


 後は側近達が仕事をしている部屋かしらね。そこもまぁ本来なら行くべき場所ではないのだけれど。仕事部屋は後でルフェーヴィルにでも案内させましょう。


 セレモニー等が行われるホールは別棟にあるわ。専用棟よ。大ホールと小ホールがあるの。大ホールは地方全体の貴族が集まって話し合いをしたり、大きなパーティーを行う時に使用するの。小ホールは小さな会談や誕生パーティー等をする時に使うの。ジュリーブ家は別荘を新たに建てたから滅多にホールを使用することはないわね。だから他の貴族達に貸し出しをしたりしているわ。雨風の心配が全くないからいつでも好きな時にやりたいことをできるのが大きな利点ね。


 本館の中で一番大きなお部屋は食堂よ。

 私達だけでなく西館や東館、南館に住んでいる親族全員で一緒に食事をするからそれなりに大きくないと全員が入りきらないのよね。養子の子達は5人共私よりも年下だからもう可愛くてしょうがない…可愛いって罪よね。


 名前はね、一番上から順に、セリーヌ、デベルナール、ファヴィール、ロートネル、ペリナール。

 セリーヌとペリナールが女の子でデベルナールとファヴィール、ロートネルが男の子。セリーヌとデベルナールが双子の兄弟で13歳。ファヴィール、ロートネル、ペリナールが同腹の兄弟で上から13歳、11歳、9歳。


 アルノリトやナターリヤも本当に可愛いけど、それよりも下の年齢というのはいなかったからとても新鮮だ。因みに養子の子達が館に来たのは私が13歳の頃。約2年前ね。


 おっと、話が逸れちゃったね。えーと、あと本館で紹介する所…特に思いつかないわ。だからここから一番近い場所にある西館に向かいましょう。そこにはおばあ様やおじい様、ひいおじい様、ひいおばあ様が住んでいらっしゃるの。最近会いに行ってなかったし、丁度いいから挨拶を致しましょう。


 おじい様の名前はタフェイユール様、おばあさまの名前はリールベット様。二人共物凄い仲が良いのよ。ラフミューレでは知らない人の方が少ないくらい有名なの。


 おじい様もおばあ様もとても優しい性格で何時も笑顔で話を聞いてくれるの。親族は皆大好きだけど話しやすいという面では祖父母が一番かもしれないわ。


 そうこう言ってるうちに着いたわ。ここが西館の入口よ。


「どうしたのですか?アイリーン」


 西館と本館を繋ぐピレスの前で管理人から謎のチェックを受けていると、後ろから声をかけられた。それは…


「おばあ様!」

「よく来ましたね。アイリーン。ルーフィオ、彼女は私の孫ですから通してあげなさい。何も警戒することなどありませんよ」

「大変申し訳有りません。アイリーン様。どうぞお入りください」

「え、えぇ…」


 一年前に会いに来た時はこんな事なかったのに、何か事件でも起こったのかしら?

 まぁ無事に入れたから良しとしましょう。私の無実が証明されればそれでいいわ。でも気になるので後でお母様にでも聞いてみることにする。


 西館は三階建てで一階がエントランスホール、二階が曾祖父母が暮らすお部屋があって三階には祖父母が住んでいる。全ての階はピレスで繋がっているから移動も楽なの。階段もあるけど滅多に使わないわね。


 もしも病気になった時、直ぐに対応出来るように一階には簡易的な病院があるの。年中近くに医者がいるってとても安心よね。


 西館から外に出る扉はあるけれど、館の正門までは馬車を使っても10分くらいかかるから、使うのは本当に稀ね。よく使用するのは使用人じゃないかしら?主に頼まれて、お庭に植えてある植物を採りに行く仕事があるもの。貴族はあまり近寄らないわね。


 今回はこの位にしとくわ。東館や南館はまた今度にしましょう。今日はもう疲れたわ。暫くおばあ様の所で休んだらお部屋に戻る。あぁでもその前にお母様にお伺いをたてなければ…


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星の彼方に住む君と 閑話まとめ 月影 時雨 @sigure12

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